総務省が29日に公表した国勢調査の速報値により、九州・山口・沖縄各県の人口動向が明らかになった。福岡県は60年ぶりに減少に転じるなど、沖縄県を除くすべての県で人口減少が確認された。地域経済のけん引役である福岡市は人口が過去最高を記録したものの、その増加率は鈍化しており、勢いに陰りが見え始めている。
福岡市の人口動態
福岡市の人口は前回調査(2020年)から5万1500人増加し、過去最高の166万3892人となった。九州各地を中心に若い世代の流入が続いており、増加率は3.2%と、政令指定都市の中で3回連続のトップとなった。
しかし、市の担当者によれば、転入数が転出数を上回る「社会増」は堅調に推移しているものの、少子化の影響で死亡数が出生数を上回る「自然減」が続いているという。このため、増加率自体は前回調査と比較して1.6ポイント減少し、過去最低となった。
周辺自治体への影響
福岡市の成長鈍化は、近接する自治体にも影響を及ぼしているとみられる。福岡県春日市や那珂川市は前回調査では人口が増加していたが、今回は減少に転じた。福岡市の担当者は「自治体間の競争が激しくなっている」と分析している。
北九州市と長崎市の減少
北九州市の減少数は3万4740人に上り、全国の市町村で最多となった。福岡県久留米市は29万6827人となり、2005年の合併以降、初めて30万人を割り込んだ。長崎市の減少数は2万7380人で全国で7番目に多く、担当者は「前回調査より減少数が7000人ほど増えており、厳しい状況だ」と語る。
TSMC進出地域の人口増加
一方、台湾積体電路製造(TSMC)が進出した熊本県では、工場のある菊陽町が2.8%増となったのをはじめ、周辺市町村で人口増加が顕著だった。工場に近い大津町は5.0%増の3万6941人を記録。半導体関連企業などの進出が2021年以降で計約50件に上り、町は2045年に4万1400人になると推計している。担当者は「人口が伸びることを想定し、まちづくりを進めていきたい」と意気込みを語った。



