ふるさと納税100万円で実現した「1日市長」体験
兵庫県西宮市は、今年度の市制100周年を記念し、ふるさと納税で100万円以上を寄付した人を対象にした特別な返礼品「1日市長体験」を設けました。このユニークな企画に応募した東京都在住の会社員、甲斐野翼さん(36歳)が2月10日、実際に西宮市役所を訪れ、市長としての一日を体験しました。
「モノ消費」ではなく「コト消費」を選択
甲斐野さんは埼玉県出身で、西宮市との特別な縁はありませんでした。しかし、今年度限定で企画されたこの返礼品を知り、昨年8月に100万円の寄付を決断しました。その理由について、甲斐野さんは「商品など形あるものに使う『モノ消費』よりも、体験型の『コト消費』を通じて経験を積み、人生の豊かさを深めたいと考えた」と語っています。彼の寄付金は、地元団体が実施する記念事業への支援などに活用される予定です。
市長としての一日のスケジュール
甲斐野さんはまず、石井登志郎市長から1日市長の委嘱状を授与されました。午前中は、阪神甲子園球場を視察。球場職員から、室内練習場のある場所に以前はプールがあったことや、現在進行中の銀傘拡張工事について詳細な説明を受けました。
午後には、市議会の本会議場で議会答弁を体験。まるで本当の市長のように、政策や市政運営についての質問に答える模擬演習を行いました。来月実施される市長選挙を控え、報道陣から立候補の意向を尋ねられると、甲斐野さんは「まだ若輩者なので考えていません。特段の予定はありません」と応え、周囲の笑いを誘いました。
市職員への「訓示」と感動の退庁
一日の最後に、甲斐野さんは市役所で約50人の市職員を前に「訓示」を行いました。「西宮市は過去を守り、過去から現在へ紡いできて、未来につないでいく素晴らしい市だと感じた。より一層、好きになった」と述べ、市への愛着と感謝の気持ちを伝えました。
花束を受け取った後、甲斐野さんは市職員たちからの大きな拍手に見送られながら退庁。この特別な一日は、市制100周年を記念したふるさと納税のユニークな取り組みとして、参加者と市の双方にとって忘れられない経験となりました。
西宮市のこの試みは、ふるさと納税の返礼品として「モノ」ではなく「体験」を提供する新しい形を示しており、地方自治体の創意工夫が光る事例となっています。