帝国ホテル東京で初のアレルギー対応ビュッフェ開催、重度アレルギーの子育て経験者が全15品を手掛ける
日本を代表する老舗ホテル「帝国ホテル東京」が、食物アレルギーに対応した画期的なビュッフェイベントを開催します。3月27日に実施される「フードバリアフリー ビュッフェ」では、アレルギーを引き起こす特定原材料を一切使用しない料理が提供されます。この取り組みは、食物アレルギーへの理解を深め、誰もが安心して食事を楽しめる社会の実現を目指すものです。
重度アレルギーの子どもを育てた料理研究家がメニューを開発
メニュー開発を担当するのは、松江市を拠点とする「フードマリコ」の代表で料理研究家の上田まり子さん(43歳)です。上田さんは重度の食物アレルギーを持つ3人の子どもを育てており、自身も食物アレルギーを抱えています。20年以上にわたってアレルギー対応食の研究・開発に取り組んできた経験と想いが、このビュッフェに込められています。
提供される料理は魚や肉を使ったものなど全15品で、特定原材料8品目(卵、乳、小麦、エビ、カニ、落花生、クルミ、そば)と全てのナッツ類を不使用としています。特に注目されるのは、上田さんが手掛ける米粉ベースのスポンジケーキとタルト生地を使用した特製デザートです。これらはアレルギーを持つ人々にも安心して楽しめる工夫が凝らされています。
大阪・関西万博での縁が帝国ホテルとの協力につながる
このビュッフェ開催のきっかけとなったのは、昨年開催された大阪・関西万博でした。上田さんは、万博会場のフランス館で開催された「味覚の授業」の企画に関わりました。この授業では帝国ホテル総料理長の杉本雄さんが講師を務めており、その縁で上田さんがビュッフェの構想を杉本さんに提案しました。
杉本さんはこの趣旨に賛同し、フードマリコがこれまでにJR西日本運営の広島市内ホテルで14回にわたり同様のビュッフェを開催してきた実績も評価され、帝国ホテル東京からのゴーサインが出ました。アレルギー対応食に特化したビュッフェの開催は、帝国ホテル東京では初めての試みとなります。
体験型ワークショップや企業パネル展も同時開催
会場ではアレルギー対応食の体験型ワークショップが実施されるほか、森永製菓やNTTドコモなど協賛企業を紹介するパネル展も行われます。さらに、老舗鰹節専門店「浜弥鰹節」(大阪市)がビーガン向けに開発した植物由来のかつお風味だしの試飲も可能です。
フードマリコは昨年4月から、松江市内で食物アレルギー対応食を提供する子ども食堂「のあれキッチン」の運営も開始しています。上田さんは「今回のビュッフェは、アレルギーや宗教的な背景などによる『食のバリア』を取り除く一歩です。より多くの人に関心を持ってもらい、誰もが同じ食卓で笑顔になれる社会の実現につなげたい」と語っています。
料金と問い合わせ先
料金は大人2万円、中高生1万5000円、小学生9000円(いずれも税込み、ドリンク代別)となっています。問い合わせはフードマリコ(090-3267-7625)まで。
食物アレルギーを持つ児童・生徒は52万6700人以上
公益財団法人・日本学校保健会が2022年度に実施した「アレルギー疾患に関する調査」によると、食物アレルギーがある児童と生徒は約52万6700人にのぼります。この調査は全国の公立の小中高と特別支援学校などを対象としており、77.6%にあたる2万5466校からの回答を基にまとめられました。同保健会は「私立学校が含まれていないため、食物アレルギーがある子どもたちの数は実際にはもっと多いはず」と指摘しています。
帝国ホテル東京でのアレルギー対応ビュッフェは、こうした現状を背景に、食の多様性と安全性を追求する重要な取り組みとして注目を集めています。誰もが食事を楽しめる社会の実現に向けた一歩として、その成果が期待されます。



