イランで支援活動中のNPO代表、連絡途絶える 車いす利用者支援の現場に緊張
ミサイルが飛び交うイランの空の下、日本からの支援を受けて暮らす人々がいる。車いす利用者らの生活向上を目指し、NPO法人「イランの障害者を支援するミントの会」(神奈川県秦野市)の理事長、パシャイ・モハメッドさん(56)は現在、母国イランで活動を続けている。しかし、米国によるさらなる大規模攻撃の予告がなされる中、日本に残るスタッフたちは代表の安否を案じ、心配を募らせている状況だ。
「まだやることがある」と現地に残る決断
攻撃懸念が高まっていた2月25日、同会の大沢照枝理事(68)が通信アプリで「早く帰ってきますか」と尋ねた際、パシャイさんは首都テヘラン近郊のカラジから「まだやることがあるから様子を見ます」と電話で応答した。しかし、それ以来、メッセージを送っても既読にならず、直接の連絡は完全に途絶えている。スタッフたちは不安な日々を過ごしている。
イランでは車いすや介護ベッドといった福祉機器の普及が進んでおらず、同会はこうした機器を送り、障害者とその家族の生活改善に取り組んでいる。カラジに開設した拠点の利用者は約75人に上り、パシャイさんは日本の政府開発援助(ODA)も活用して購入した機器の活用状況を確認するため、昨年12月から現地で活動を続けていた。
攻撃発生と代表の安全懸念
実際の攻撃が始まったのは2月28日。今月1日には、パシャイさんが無事だとの情報が人づてに届いたものの、直接の連絡は依然として取れていない。イランと米国、イスラエルは昨年6月にも交戦しており、当時も現地に滞在していたパシャイさんは、ミサイルらしき攻撃を受けた恐怖を8月に帰国後も語っていたという。
特に懸念されるのは、パシャイさん自身も下半身が不自由で車いすを利用している点だ。大沢理事は「近くで空爆があってすぐに逃げたくても、彼はできない」と述べ、代表の安全を強く案じている。今回の攻撃ではイラン南部の小学校も標的となり、多数の子どもらが犠牲になっている状況で、社会的弱者への影響が深刻化している。
戦争のしわ寄せと弱者支援の重要性
大沢理事は「社会的な弱者ほど戦争のしわ寄せを受ける。そういった弱者こそ守られる世界になってほしいのに」と唇をかみしめながら語る。イランでは福祉機器が不足しており、障害者支援は緊急を要する課題となっている。同会の活動は、そうした状況下で貴重な命綱となっているのだ。
パシャイさんは、自身も車いす利用者であるという経験を活かし、イランの障害者たちに寄り添った支援を続けてきた。しかし、現在の緊張した情勢の中、その活動は大きなリスクにさらされている。日本に残るスタッフたちは、一日も早い代表の無事の連絡を待ち望みながら、支援活動の継続に向けて準備を進めている。
国際情勢が緊迫する中、民間レベルでの人道支援の重要性が改めて浮き彫りになっている。イランの障害者たちは、日本からの継続的な支援を必要としており、パシャイさんの安全な帰還が切に願われている。
