レアメタル(希少金属)の一種であるタングステンの一部加工品について、中国から日本への輸出が停滞していることが27日、中国税関総署のデータから明らかになった。2月から4月にかけての炭化タングステンとタングステン粉末の日本向け輸出はゼロだった。これは、日中関係の悪化を背景に中国政府が1月に開始した軍民両用品目の対日輸出規制強化の影響が続いているものとみられる。
タングステンの重要性と中国の支配的地位
タングステンは、自動車部品などを加工する切削工具の刃先などに使用される「超硬合金」の主要材料であり、その性質から産業分野で不可欠な金属である。中国は世界のタングステン鉱石生産量の約8割を占めており、その供給を実質的に支配している。米中貿易摩擦の影響で、中国は昨年から輸出管理を強化してきたが、1月までは日本への炭化タングステンとタングステン粉末の輸出が確認されていた。しかし、中国政府が軍民両用品リストに一部のタングステン関連品目を含め、輸出規制の対象としたことで、状況が一変した。
企業への影響と対応
この輸出停滞の影響は、日本の企業にも及んでいる。住友電気工業は12日、中国からのタングステン調達が完全に停止したと公表した。同社は、米国からの調達やリサイクルによって、日本国内で必要な量をおおむね賄えているとしている。しかし、長期的な調達先の多様化や安定供給の確保が課題となる可能性がある。
タングステンは半導体製造装置や航空宇宙産業など、先端技術分野でも使用されており、供給途絶は広範な産業に影響を及ぼす恐れがある。日本政府や関連企業は、供給源の分散や備蓄の強化など、対策を急ぐ必要に迫られている。



