米国、ロシア制裁を一時的に緩和 原油高騰対策で方針転換
米財務省は3月12日、海上輸送中のロシア産原油および石油製品の購入を各国に約1か月間認める措置を発表しました。これは、イラン攻撃に伴う原油価格の高騰に対処するための緊急対策の一環であり、ウクライナ侵略を理由としたロシアへの制裁を一時的に緩和するものです。
制裁緩和の具体的な内容と背景
対象となるのは、米東部時間3月12日時点で船積みされている原油などで、措置期間は4月11日午前0時1分までと設定されています。現在、世界の海上には合計約1億2000万バレルのロシア産原油が存在すると推定されています。
国際エネルギー機関(IEA)は同日、イラン攻撃の影響により、3月の世界の原油供給量が約1割(日量800万バレル)減少するとの報告書を公表しました。米国はこれまでロシア産原油の取引規制を実施してきましたが、供給不安が拡大したため、方針の転換を余儀なくされました。
ロシアへの経済的影響と国際的な反応
ベッセント財務長官は3月12日、今回の措置が「ロシアに大きな利益をもたらすものではない」と主張しました。しかし、英紙フィナンシャル・タイムズは同日、現在の原油高により、ロシアに1日あたり1億5000万ドル(約240億円)の追加収入が発生していると報じています。
同紙は、3月末までの累計では最大49億ドルに達するとし、「この戦争の最大の勝者はロシアだ」と指摘しました。制裁緩和により、ロシアの収入がさらに増加する可能性が懸念されています。
この措置は、国際的なエネルギー市場の安定を図るための緊急対応ですが、ウクライナ情勢における制裁政策の一貫性に疑問を投げかける結果となりました。今後の原油価格の動向と、ロシアへの経済的影響が注目されます。



