ホルムズ海峡封鎖が航空燃料価格を高騰させ、アジア太平洋の航空路線に深刻な影響
ホルムズ海峡が事実上封鎖されたことによる混乱が、航空便にも影響を及ぼし始めている。原油を原料とするジェット燃料の価格が世界的に高騰し、アジア太平洋地域を中心に、航空各社が相次いで運休や減便を発表している。航空券の値上げも始まり、ビジネスや旅行に影響が広がる見込みだ。
中東情勢の激化が航空燃料価格を押し上げ
米国とイスラエルによるイラン攻撃後に起きた攻撃の応酬で、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイやアブダビなどの空港も攻撃された。世界有数のハブ空港として知られるドバイ国際空港の発着が全便停止となり、多数の利用者が足止めされるなど、空港や航空会社の運営に直接的な影響が出た。
さらに、海上輸送の要衝ホルムズ海峡が事実上封鎖され、原油の輸送に大きな混乱が発生。これが中東以外の航空路線にも波及し始めている。調査会社S&Pグローバル・プラッツによると、ジェット燃料の現物価格は16日に欧州市場で過去最高値を記録するなど、価格は世界的に高騰している。ロイター通信は、米イスラエルによる2月28日の攻撃前の約2倍となったと伝えた。
アジア太平洋地域で運休や減便が相次ぐ
アジア太平洋地域を中心に、航空各社は採算性の低い路線などの運休や減便といった対応を取り始めた。オーストラリアのカンタス航空傘下の格安航空会社(LCC)ジェットスターは25日、豪州とニュージーランド間の国際路線を5月から減便すると発表した。豪公共放送ABCは、燃料価格の上昇を受けて「運航計画の一時的な変更を決めた」との声明を伝えた。
具体的には、豪州のシドニーとニュージーランドのオークランドを結ぶ国際路線などを12%減らし、ニュージーランドの国内線も減便する。予約客には、別便への振り替えで対応する方針だ。
国家エネルギー非常事態宣言が出される国も
フィリピンのLCCセブパシフィック航空は、南部ダバオなどの地方都市と、タイのバンコクなどを結ぶ国際路線の4月以降の完全運休を23日に発表した。首都マニラ発の国際線も大幅に減便する。
フィリピンは原油輸入の9割超を中東に依存する一方、石油備蓄が約45日分にとどまる。24日に「国家エネルギー非常事態宣言」を出したマルコス大統領は米ブルームバーグ通信に、ジェット燃料の不足を受けた航空機の運航停止は「十分にあり得る」と語った。
石油供給を輸入に頼るミャンマーでも、ミャンマー国際航空の国内線が一時運休となった。
航空券の値上げや燃油サーチャージの増額が進行
運航コストの上昇を、利用者に転嫁する動きも出てきた。タイ国際航空は、航空券を約10~15%値上げした。米ユナイテッド航空のスコット・カービー最高経営責任者(CEO)は24日のブルームバーグ通信の取材に、「燃料価格の高止まりが続いた場合、航空券を20%値上げする可能性がある」と語った。
燃油サーチャージの値上げも相次いでいる。ブルームバーグ通信によると、航空運賃は8~9%上昇する見込みだ。エアインディアは中東情勢の激化によるジェット燃料価格の高騰により、燃油サーチャージの新規徴収や値上げを進めている。
このように、ホルムズ海峡封鎖を発端とするジェット燃料価格の高騰は、アジア太平洋地域の航空業界に広範な影響を与えており、今後も状況が注視される。



