ロンドンの自然史博物館で5日、同館が長年にわたり保管してきたアイヌ民族の遺骨7体を北海道アイヌ協会(札幌市)に正式に引き渡す式典が挙行された。これらの遺骨は、戦前の人類学などの研究目的で収集されたとみられ、中には約160年にわたって博物館に保管されていたものも含まれている。
返還の経緯と意義
式典には北海道アイヌ協会の大川勝理事長が出席し、「先人たちはようやく故郷に帰ることができ、きっと心から安堵している」と述べ、長年の返還運動が実を結んだことを喜んだ。遺骨が博物館にもたらされた正確な経緯は不明な点が多いが、研究目的で寄贈された可能性が高いとされている。
国外返還の事例
アイヌ遺骨の国外からの返還は、ドイツ、オーストラリア、英北部スコットランドに続く4例目となる。これまでに計8体が返還されており、今回の7体を加えると合計15体が故郷に戻ることになる。
遺骨の出土地域
今回返還された7体のうち、4体は北海道八雲町や森町で発掘・発見されたもの。残りの2体は千島列島で見つかり、1体は出土地域が不明とされている。これらの遺骨は、北海道白老町にあるアイヌ文化施設「民族共生象徴空間(ウポポイ)」に保管される予定だ。
戦前の日本では、アイヌ民族の遺骨が人類学や民族学の研究対象として多くの博物館や研究機関に収集された事例が少なくない。近年では、こうした遺骨を故郷に戻す取り組みが国内外で加速しており、今回の返還もその一環として注目されている。



