アジア開発銀行(ADB、本部・マニラ)は3月26日、イランによるホルムズ海峡の事実上の封鎖が長期化した場合、2026年から2027年にかけてアジア太平洋地域の新興国の経済成長率が最大で1.3ポイント押し下げられるとの推計を公表しました。この分析は、中東情勢の緊迫化に伴うエネルギー供給の不安定化が、グローバルな経済に深刻な影響を及ぼす可能性を浮き彫りにしています。
成長予想の下方修正とインフレ懸念
ADBは昨年12月時点で、アジア太平洋新興国地域の2026年の経済成長率を4.6%と予想していました。しかし、今回の推計では、ホルムズ海峡の封鎖が継続するシナリオにおいて、この成長率が大幅に低下するリスクが示されました。具体的には、石油価格の高騰に伴うインフレ(価格上昇)が各国の金融政策を圧迫し、サプライチェーン(供給網)の混乱を招くことで、域内全体の経済活動が鈍化するとの懸念が表明されています。
物価上昇への影響
さらに、ADBは昨年12月に同地域の2026年の物価上昇率を2.1%と予測していましたが、今回の推計では、ホルムズ海峡封鎖の長期化により、物価上昇率が最大で3.2ポイント押し上げられるとしています。これは、エネルギーコストの上昇が消費者物価に直接反映され、家計や企業の負担を増大させることを意味します。特に、石油輸入依存度の高い国々では、インフレ圧力がより顕著になると見込まれています。
中東情勢の経済への波及効果
ホルムズ海峡は、世界の石油供給の約3分の1が通過する重要な海上交通路であり、その封鎖はグローバルなエネルギー市場に即座に影響を及ぼします。ADBの推計は、中東地域の政治的緊張が、遠く離れたアジア太平洋の経済成長を直接脅かすことを明らかにしました。このような地政学的リスクは、投資家の心理にも悪影響を与え、資本流出や為替市場の不安定化を引き起こす可能性があります。
結論として、ADBの警告は、国際社会が中東情勢の安定化に向けた外交努力を強化する必要性を強調しています。ホルムズ海峡の封鎖が現実化した場合、アジア太平洋地域のみならず、世界経済全体が大きな打撃を受けるリスクが高まっており、予防的な対策が急務となっています。



