名鉄百貨店閉店で名駅の活気維持に懸念、再開発計画白紙化で跡地の行方不透明
名鉄百貨店閉店で名駅の活気維持に懸念、再開発白紙化

名鉄百貨店閉店で名駅の活気維持に懸念、再開発計画白紙化で跡地の行方不透明

名鉄名古屋駅に直結する老舗百貨店「名鉄百貨店」が、2月28日に営業を終了する。この閉店は、親会社の名古屋鉄道が主導する名駅周辺の再開発計画に伴う既定路線だったが、計画が事実上白紙化されたことで、跡地の行方が注目を集めている。名鉄は2026年度中に計画見直しの結論を出す方針だが、名古屋の玄関口である名駅地区の将来に不透明感が漂っている。

閉店セールでにぎわう売り場と利用客の名残惜しむ声

名鉄百貨店の売り場では、閉店を前に「71年分の感謝祭」と銘打った大幅値引きセールが実施され、例年以上のにぎわいを見せている。品質の高い商品が最大8割引きで購入できることもあり、多くの利用客が押しかけている。本館1階の宝石売り場では、ダイヤと金をあしらった約1100万円のブレスレットが半額になるなど、豪華な品々が割引販売されている。

約60年前にエレベーターガールを務めた経験がある販売員の山田景子さん(77)は、「子供の頃から遊び場所だったので、閉まるのはさみしい」と名残を惜しんだ。山田さんは約半世紀にわたり名鉄百貨店で働いてきた経験から、地域との深い結びつきを感じさせる。

Pickt横長バナー — Telegram用の共同買い物リストアプリ

名鉄百貨店の歴史と収益悪化の背景

名鉄百貨店は1954年12月、東海地区初の駅直結ターミナル百貨店として開業し、1973年には巨大マネキン「ナナちゃん」が登場するなど、名駅前の定番スポットとして親しまれてきた。しかし、2000年3月にJR名古屋駅直結の大型百貨店・ジェイアール名古屋タカシマヤが開業したことで、競争が激化。郊外型商業施設の台頭もあり、収益は伸び悩んだ。

売上高は2000年の793億円から昨年は413億円とほぼ半減し、名鉄百貨店の石川仁志社長は「店舗や商品の入れ替えなど、中長期的な展望をもって投資ができなかった」と振り返っている。同様に、松坂屋名古屋駅店や名鉄百貨店一宮店も相次いで閉店しており、百貨店業界全体の厳しい状況が浮き彫りになっている。

再開発計画の白紙化と跡地活用の課題

名鉄百貨店の閉店は、名鉄主導の名駅周辺再開発計画に伴うものだったが、昨年12月、大手ゼネコンが事業参画を見送ったため、計画のスケジュールがすべて未定となり、事実上の白紙状態となった。これにより、百貨店ビルの解体時期は不透明で、既存ビルは当面そのまま残ることになる。

名鉄は、計画見直しに伴い、名鉄グランドホテルの宿泊業務や名鉄バスセンターの営業を継続させる一方、百貨店事業は予定通り終了する。高崎裕樹社長は「百貨店が流通事業のメインとなる時代は終わった」と述べ、再開発に合わせて食や雑貨の販売を自社展開することを検討中だ。

跡地の活用策については、地下1階や地上1階を小売りやイベントに利用する考えを示しているが、上層階の活用は未定で、名駅周辺の一等地が「持ち腐れ」になる可能性が指摘されている。無期限の「主役不在」は消費者行動にも影響を及ぼしかねず、名駅地区での購買機会が減れば、消費者が栄地区に流れる懸念もある。

名駅地区の将来像と地域経済への影響

名駅地区は名古屋市の中核商業地域として機能してきたが、大型再開発計画の停止は、地元事業者が描く都市像や地域への期待に影を落としている。昨年12月には、名古屋が国内外から選ばれる都市になることを目指し「NAGOYA都心会議」が発足したが、計画の遅れが地域の活性化を阻害する可能性がある。

Pickt記事後バナー — 家族イラスト付きの共同買い物リストアプリ

一方、栄地区では高さ約211メートルの複合ビル「ザ・ランドマーク名古屋栄」が今年開業するなど、開発が進んでおり、名駅地区との競合が激化する見込みだ。名鉄百貨店の閉店と再開発の不透明さは、名古屋全体の都市計画にも影響を与え、地域経済の行方を左右する重要な課題となっている。