デジタル時代に手書きの温もりが評価される
福岡市に本社を置くRAPAS株式会社が展開する手紙代筆サービス「オモイトドク事業」が、企業や個人からの需要を拡大し、急成長を遂げている。同サービスは、企業や個人から手紙の代筆を受注し、内職の書き手にしたためてもらって依頼主に届ける仕組みで、営業用の手紙をはじめ、お礼状や年賀状まで活用の幅が広がっている。現在、取引先の企業数は250社を超え、売上高は2年連続で倍増する好調さを見せている。
元サッカー選手の社長が着想した新事業
オモイトドク事業を立ち上げたのは、福岡市出身の陸守康汰社長(28歳)だ。陸守社長は高校卒業後、サッカー選手として3年間プレーしたが、けがで引退。その後、「次は社長になる夢をかなえよう」と考え、2019年にRAPASを設立した。当初はサッカースクールなどの運営会社としてスタートしたが、コロナ禍で事業が停止。その際、社員から手紙での営業を提案されたことをきっかけに、2021年に代筆業を思いついたという。
陸守社長は「メールやSNSが当たり前になった時代だからこそ、手書きの温かみや丁寧さが求められるはず」との読みを持っていた。この予測は見事に的中し、デジタル化が進む現代において、逆に手書きの価値が見直される流れを捉えることに成功した。
約1万5000人の書き手が隙間時間を活用
同社はインターネットなどを通じて書き手を募集しており、現在では約1万5000人に達している。自宅に「お仕事セット」を届けて作業してもらう仕組みで、報酬は出来高制。このシステムは「隙間時間を活用できる」として、主婦や学生、副業を探す社会人などから好評を博している。
書き手たちは、依頼主の要望に応じて丁寧に筆を走らせ、企業向けの営業文書から個人の心のこもったメッセージまで、多様なニーズに対応している。これにより、忙しい現代人が手書きの手紙を送りたいという願いを、効率的に叶えるサービスとして定着しつつある。
福岡から全国、世界へ挑戦する地場企業
取引先企業のほとんどは首都圏に集中しているが、陸守社長は拠点を東京に移す考えはないと明言する。「福岡からでも全国、世界と勝負できる。福岡を代表する地場企業に成長して、地元を盛り上げたい」と力を込める。
同社の成長は、地方発のビジネスがデジタル技術を駆使して全国展開できる可能性を示す好例だ。オモイトドク事業は、単なる代筆サービスではなく、人と人とのつながりを深めるコミュニケーションツールとして、今後も需要が拡大すると見込まれている。
陸守社長は「これからも手書きの魅力を伝え、多くの人に喜ばれるサービスを提供し続けたい」と意気込みを語っている。福岡発のこのユニークな事業が、どのように進化していくのか、注目が集まっている。



