ホルムズ危機でEV需要急拡大、アジア・豪州で中国勢が攻勢 日本勢の苦戦鮮明に
ホルムズ危機でEV需要拡大、中国勢が攻勢 日本勢苦戦 (13.04.2026)

中東情勢緊迫で原油市場混乱、アジア太平洋地域でEV需要が急拡大

ホルムズ海峡を巡る中東情勢の緊迫化に伴う原油市場の混乱が、アジア太平洋地域において電気自動車(EV)の売り上げ増加に直接的な影響を与えている。原油輸入依存度の高いアジア各国では、燃料価格の高騰や品薄状態が発生しており、燃料を必要としないEVの優位性に注目が集まっている。特に中国メーカーが積極的な販売攻勢をかけており、長年にわたり市場を支配してきた日本勢の地位が揺らぐ可能性が高まっている。

バンコク国際モーターショーで中国勢が存在感、消費者の意識変化も

タイの首都バンコク郊外で今月5日まで開催された「バンコク国際モーターショー」では、中国自動車メーカーBYDのアジア太平洋地域自動車販売事業部総経理、劉学亮氏が「我々が目指すのは化石燃料依存の低減だ」と訴え、中東発のエネルギー危機を背景にEVの強みを強調した。劉氏は取材に対し、「燃料の要らないEVの利点を考える人が増えるのではないか」と語り、消費者の意識変化に期待を示した。

実際、3月25日から始まったショーへの来場者からはEVに対する好感の声が相次いだ。北部ナコンサワン県から訪れた47歳のビアさんは、BYD系高級ブランド「デンツァ」のワンボックス型EVをその場で予約し、「自宅に太陽光発電設備を導入すれば燃料不足もしのげる」と語った。また、バンコク在住の20歳男子大学生は、ディーゼル車と悩んだ末にEV購入を決断し、「現状ではEVを選んだ方が良さそうだ」と述べている。

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販売成約件数で中国勢が首位独占、日本勢は苦戦続く

会期中の販売成約件数では、BYDが首位を獲得。前年2025年から長年首位を守ってきたトヨタ自動車を逆転し、2年連続で1位となった。さらに、上位10社中8社をEVの品ぞろえや価格競争力に強みを持つ中国勢が占める結果となった。日本勢は「燃費の良いいすゞの車を購入いただくのがベストだ」と、いすゞ自動車の現地法人販売責任者が燃費の良さを押し出す戦略を取ったが、苦戦している状況が鮮明となった。

ホルムズ海峡を経由して輸出される原油の約8割はアジア太平洋地域に届けられており、タイもその一つである。原油輸入の停滞により、ガソリンや軽油の精製が困難となり、国内販売価格が上昇。品薄状態の給油所も出現し、国民の不安が高まっている。

タイ市場で日系シェアが急落、中国勢の工場建設が追い風に

タイではエンジン車に強みを持つ日系メーカーが長年市場を支配してきたが、近年はEVの豊富なラインアップを武器にした中国勢が大幅な値引きでシェアを急拡大。新車販売における日系のシェアは2022年に85%を超えていたが、2025年には69%まで低下。一方、中国系は18%まで上昇している。

タイ政府は、車の生産に占めるEV比率を2030年までに3割に高める目標を掲げており、この産業政策に支えられて中国勢は相次いでタイに工場を建設。2024年頃からEVの量産を本格化させ、存在感を高めてきた。一部のEV購入補助が期限を迎え、国内のEVブームは一服したかに思われたが、2月28日の米国とイスラエルによるイラン攻撃に端を発した原油供給の混乱により、消費者のニーズが再び高まっている。

小型SUVで比較すると、トヨタのカローラクロス(ハイブリッド車)が約100万バーツ(約496万円)するのに対し、BYDのATTO3(EV)は約80万バーツ(約397万円)と、EVの割安感も需要拡大の追い風となっている。この傾向はベトナム、豪州、ニュージーランドでも同様に、3月のEV販売が増加しており、アジア太平洋地域全体でEV需要の高まりが顕著となっている。

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