フジテレビ「楽しくなければ」からの脱却に苦悩 新理念発表も現場は戸惑い
フジテレビ新理念発表も現場は戸惑い 脱・楽しくなければに苦悩

フジテレビは12日、新たな企業理念を発表した。キャッチフレーズ「楽しくなければテレビじゃない」からの脱却を目指し、「その楽しさは、何のためにある?」などとする理念を掲げた。一連の問題を受けてコンプライアンス強化に取り組む中で、長年親しまれてきたスローガンを見直す動きだ。

新理念の内容

新しい企業理念は「三つの指針」で構成されている。第一は「その楽しさは、何のためにある?」という自らへの問いかけ。第二は「フジテレビよ。楽しさを、はき違えるな。」で始まり「楽しさに向き合わなければ、フジテレビじゃない。」で締めくくられる行動規範。第三は「ひとりの好きからはじまる熱を、世界中へあふれさせていく。」という目標だ。

清水賢治社長は「単なるスローガンではなく、私たち自身に向けた厳しい『問い』であり、決して逃げてはならない社会への『約束』です」とコメントしている。

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「楽しくなければ」の歴史

「楽しくなければテレビじゃない」は1981年秋の番組改編時に打ち出された。当時、フジテレビは視聴率低迷に苦しんでいたが、このキャッチフレーズの下で「オレたちひょうきん族」や「笑っていいとも!」などの人気番組が次々と誕生。フジは黄金期を迎えた。

当時の編成局長は日枝久氏で、開局時の「母と子のフジテレビ」からイメージを刷新した。日枝氏はその後約40年にわたり経営の中枢を担った。

問題の発覚と改革

2024年12月、元SMAPの中居正広氏による女性アナウンサーへの性加害問題が週刊誌で報じられた。フジテレビは被害申告を受けながらも適切な対応を取らず、中居氏を番組に出演させ続けていた。

第三者委員会の報告書は、対応方針を当時の社長ら3人だけで決定し、人権問題として認識できていなかったと指摘。男性優位で同質性が高い経営構造が人権意識を鈍らせ、ハラスメントを容認する風土を生んだと批判した。

これを受け、フジテレビは昨年4月に「楽しくなければテレビじゃない」を過度に重視した風土からの脱却を宣言。組織改革や理念見直しを進めている。

現場の反応

多くの社員は改革を支持する一方、前社長・港浩一氏の時代との変化に戸惑う声も聞かれる。港氏は「軽く野放し」というフレーズを好んで使い、現場のアイデアを尊重する姿勢を示していた。しかし、一部の社員はこの言葉が「何でもあり」と誤解され、問題を招いた可能性を指摘する。

元幹部は「港氏の意図は、現場の自主性を重んじるものだったが、コンプライアンス意識の低さにつながった面もある」と振り返る。

フジテレビは今後、新理念の浸透とともに、企業風土の改革を本格化させる方針だ。

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