漫画家しりあがり寿が語る東海林さだお作品の真髄
2026年4月16日、漫画家でありエッセイストとしても知られる東海林さだお氏が亡くなりました。東海林氏はかつて、毎日新聞朝刊で約40年にわたって漫画「アサッテ君」を連載し、多くの読者に親しまれていました。この訃報を受け、同じく漫画家のしりあがり寿氏(68)が、東海林作品の魅力や影響について語りました。
「大人の世界の人」としての東海林さだお
しりあがり氏は、自身の10代の頃を振り返り、東海林氏について次のように語っています。「漫画ばかり読んでいた10代の僕にとって、すでにデビューしていた20歳以上も年上の東海林さんは『大人の世界の人』でした。親が買ってくる週刊誌や、病院の待合室にある新聞には、いつも東海林さんのサラリーマン漫画があったものです。」
当時、ダメな平社員とイヤな上司を描くような漫画は様々な媒体で連載されていましたが、東海林氏の作品には特別な温かさがあったとしりあがり氏は指摘します。「その中で東海林さんの作品には意外性よりも、ダメな主人公を通しての温かくやさしい『あるある』感を多く感じていた印象があります。日常に潜む面白さと気づきを、独特の視点で描き出していたのです。」
連載のすごさを改めて実感
しりあがり氏自身、2002年から朝日新聞夕刊で4コマ漫画「地球防衛家のヒトビト」の連載を始めました。この経験を通じて、東海林氏の偉大さを改めて認識したと言います。「40年以上も毎日新聞に『アサッテ君』を載せていた東海林さんのすごさを改めて実感しました。僕は防衛家を描くとき、時事問題に頼ることが多いんです。『時事』は毎日勝手にやってくるから、比較的ネタに困らない。しかし東海林さんは、よくサラリーマンの日常という身近なところで40年もネタを探せたな、と思います。」
東海林氏の作品には、ひょうひょうとした絵や力みのないネタ選びが特徴として挙げられます。しりあがり氏は、このようなスタイルの背景には優れた観察眼があったと評価しています。「日常の些細な出来事や人間関係を、深い洞察力で切り取る能力は本当に卓越していました。それが長年にわたる連載を支えていたのでしょう。」
作品に込められた本質的なメッセージ
東海林氏の作品は、単なる笑いを超えた本質的なメッセージを含んでいたとしりあがり氏は強調します。「東海林さんの漫画は、読者に気づきを与えるものでした。サラリーマンの日常を描きながら、人間の本質や社会の在り方を静かに問いかけていたのです。この『本質論』を大切にした姿勢は、多くの漫画家に影響を与えています。」
また、東海林氏は「お気楽」で「型破り」な革新性も持ち合わせていました。しりあがり氏は、「既存の枠組みに縛られず、自由な発想で作品を生み出していた点が、東海林さんの革新性だと思います。それが作品に独特の軽やかさと深みをもたらしていたのです。」と語りました。
東海林さだお氏の作品は、今も多くの読者に愛され続けています。しりあがり寿氏の言葉を通じて、その魅力が改めて浮き彫りになりました。日常の中にある面白さと気づきを追求した東海林氏の遺産は、漫画界に大きな足跡を残しています。



