芝野虎丸十段が一力遼棋聖を破り棋聖初奪取、厳しい攻めで強敵圧倒
芝野虎丸十段が棋聖初奪取、一力遼棋聖を下す

芝野虎丸十段が棋聖初奪取、一力遼棋聖を厳しい攻めで圧倒

囲碁界の最高位タイトルが新たな王者の手に渡った。芝野虎丸十段(26)が3月26日、一力遼棋聖(28)を破り、棋聖を初めて奪取した。穏やかな物腰の勝負師が、4連覇中の第一人者の牙城を崩す歴史的な瞬間となった。

熱戦の終結と新棋聖の驚き

午後4時13分、神奈川県箱根町の「ホテル花月園」の対局室で、一力棋聖が頭を下げて投了し、シリーズが幕を閉じた。芝野新棋聖は「こういう結果になって自分でもびっくりしている」と語り、勝利への驚きを率直に表現した。

米ハワイ州で開幕した今シリーズは、他棋戦の対局も重なる過密日程の中で戦われた。第3局では終盤の失着で敗れ、自信を失いかけたが、「ミスを許すためには、シリーズで勝つしかない」と決意。流れを引き戻し、最終局では厳しい攻めで強敵を圧倒した。

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異色の勝負師のスタイル

対局中はほとんど動かず、音を立てずに着手する芝野新棋聖は、闘志を前面に出さない異色の勝負師として知られる。彼は「重圧は感じていない。自分らしく、のびのびやっていきたい」と語り、独自のアプローチを貫いた。

3年前の第47期棋聖戦七番勝負で初めてタイトルを争った両者は、その後明暗が分かれた。一力棋聖は2年前に国際棋戦「応氏杯」を制して世界一となり、七大タイトルのうち五冠を保持。一方、芝野新棋聖は昨年は四つ、一昨年は五つのタイトル戦に出場したが、獲ったのは昨年の十段のみだった。一力棋聖にはこれまで5度の番勝負ですべて敗退していた。

ライバル意識を超えた成長

芝野新棋聖は「一力さんの活躍は刺激になっていますが、『それだから自分も』という気持ちはない」と語り、ライバルをあえて意識しなかった。代わりに、自らの力をつけることに心を砕き、着実な成長を遂げた。

一力棋聖にとっては5連覇と名誉棋聖の資格獲得がかかるシリーズだった。劣勢な碁でも猛烈な粘りで挑戦者を追い詰めたが、「(国際棋戦の)LG杯などでも結果が残せず、難しい部分はあった。実力が足りなかった」と静かに語った。

力勝負への誘導とAI時代の新鮮さ

シリーズ前、芝野新棋聖は「自分がしっかり打てば、互角以上に戦える」と語り、自信を見せていた。一力棋聖は綿密な序盤研究に加え、読みの鋭さと終盤戦の精度の高さで「弱点が少ない」強敵と評される。しかし、芝野新棋聖は動じず、「自分が力を出すかどうか。大きな対策はしていない」と語った。

その姿勢はシリーズを通して一貫していた。序盤では相手の研究を外す手を試し、第5局では実利に甘くても手厚く力をためる打ち方を選び、得意とする攻めの碁に持ち込んだ。彼は「中国や韓国の棋士は、AI(人工知能)と一致する手しか追わない。自分に合った布石を見つけることを意識している」と語り、見慣れない局面へ誘導し力勝負へ引きずり込むスタイルは、AI時代の中で新鮮に映る。

解説者も舌を巻く勝利

第7局の新聞解説を務めた伊田篤史九段は「芝野さんは勝負にとらわれず、囲碁を楽しんでいるようだ」と舌を巻いた。自らのスタイルを貫き、最高位のタイトルを手にした芝野新棋聖の勝利は、囲碁界に新たな風を吹き込んだ。

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