神戸市室内管弦楽団の存続が危機的状況に 補助金打ち切り方針で解散の可能性も
神戸市は、プロの室内オーケストラ「神戸市室内管弦楽団」への補助金を2027年度までで打ち切る方針を正式に決定した。この決定を受け、楽団を運営する神戸市民文化振興財団の幹部は、楽団の解散も検討していることが明らかになった。理事会は27日に緊急会合を開き、今後の対応について協議する予定だ。
補助金依存の実態と集客の課題
神戸市室内管弦楽団は1981年に「神戸室内合奏団」として市が設置し、2018年に管楽器団員が加わって現在の名称となった。神戸市民文化振興財団が運営を担い、団員は26人で構成されている。2021年には世界的なチェリストで指揮者の鈴木秀美氏を音楽監督に迎え、演奏技術の向上や広報強化など運営改善に取り組んできた。
しかし、市文化交流課によれば、2025年度の補助金は約8700万円、2026年度は約8500万円を予定しており、楽団の収入の実に7割を補助金が占めている。拠点としている神戸文化ホール(神戸市中央区、2043人収容)で年5回開催される定期演奏会は、来場者が微増傾向にあるものの、平均550人前後で伸び悩んでいる状況だ。
市の厳しい条件提示と財団の対応
神戸市は昨年11月、楽団に対して維持・再編・解散の3案を提示。維持を選択する場合には、補助金の割合を4割に削減し、定期演奏会で65%以上の集客率を見込める改善策の提出を求めた。
これに対し財団側は、神戸文化ホールが2027年度末で閉館するため、2030年度以降に開館予定の新・神戸文化ホール中ホール(約700席)を新たな拠点に想定。開館までは民間の中ホールで65%以上の集客を図り、チケット値上げも含む改善策を提案した。
しかし市側は、市中心部の三宮に2028年春開館予定の新・神戸文化ホール大ホール(約1800席)での65%集客を想定していたとし、今年1月に「収支構造の改善や集客増の提案に実現可能性がない」として補助金廃止の方針を財団に伝達した。
関係者の声と楽団の未来
財団の服部孝司理事長は「厳しい局面だが、楽団が存続できるよう、いろいろな方策を考え、努力を続けたい」と述べている。一方で関係者によれば、財団は団員に対し「運営の継続は難しい」「解散はやむを得ないと考えた」との文書で説明しているという。
音楽監督の鈴木秀美氏は「採算がとれなければ存在する意味がない、という文化行政の風潮に危機感を覚える。市は補助金打ち切りを論ずる以前に、私たちにも市民にも経緯を誠実に説明する責任があるのではないか」と強い懸念を示した。
全国には自治体が補助する楽団が27団体存在し、神戸市の決定は公的文化支援の在り方に大きな問いを投げかける事例となっている。特に2008年に橋下徹大阪府知事(当時)が大阪フィルハーモニー交響楽団への補助金廃止を決定した事例との比較も注目される。
今後の展開は理事会の議論を待つことになるが、42年の歴史を持つ楽団の存続が危ぶまれる事態は、文化行政と財政バランスの難しい関係を浮き彫りにしている。



