香川県の3件が登録有形文化財に 丸亀城別館や旧小西家住宅など
国の文化審議会は、香川県内の3件の建造物を登録有形文化財とするよう文部科学大臣に答申しました。これにより、県内の登録有形文化財(建造物)は449件となります。今回の答申対象は、丸亀城の「延寿閣別館」、明治時代後期に建てられた「旧小西家住宅 主屋」、そして明治天皇が丸亀市を訪問した際の滞在場所を伝える石碑です。
細部にこだわり延寿閣別館
延寿閣別館は1933年、迎賓施設「延寿閣」とともに丸亀城三の丸に建設されました。石垣に面して縁側が配置され、眼下に讃岐平野が広がり、天候が良ければ阿讃山脈や象頭山を望むことができます。延寿閣は老朽化を理由に1985年に取り壊されましたが、別館は残され、東京にあった旧丸亀藩主・京極家の屋敷の一部を移築していることから、「旧大名家で子爵の邸宅の趣を現在に伝える」と評価されました。
市の担当者によると、厳選した部材が使用されており、床の間には長さ約2.7メートルのケヤキの一枚板が敷かれています。また、部屋全体に取り付けられた金属製の釘隠には中国の文様が刻まれ、一つ一つのデザインが微妙に異なる点が特徴です。縁側では表面に墨を塗った桜の板を使用し、桜の花をモチーフにした釘隠で統一されています。担当者は「華美ではないけれど、細部にこだわりが詰まっている。京極家の粋が感じられる」と述べています。
丸亀市は2024年から延寿閣別館で「城泊」を実施しており、2026年3月24日までに5組計12人が宿泊しました。市は、「お殿様気分を味わうだけでなく、登録有形文化財として来歴や細部の意匠にも興味を持ってもらえたら」と期待を寄せています。
格式の高さ旧小西家住宅主屋
旧小西家住宅主屋は1901年に建てられた木造2階建てで、延べ約410平方メートルです。1階には10畳や15畳の座敷と複数の「間」があり、身分や立場によって使い分ける部屋を設けているのが特徴です。この旧家の格式や建設当時の生活様式を今に伝える点が高く評価されました。
当主の部屋の近くには帳面や金庫を保管する「なんど」が配置され、仏間に隣接して住職の「控えの間」があるなど、機能的な設計が施されています。調査を担当した建築士の谷野友香さんは、「住人や来客の動線が機能的に配されている」と解説し、当時の生活の様子を窺い知ることができます。
市民の思い明治天皇訪問の碑
明治天皇の碑は丸亀市役所東隣の丸亀護国神社境内にあり、1922年に建立されました。同市の離島・広島で切り出された高さ7.8メートルの石の柱に「明治天皇行在所址碑」と刻まれ、頭頂部には銅製の鳳凰像が飾られています。行在所は天皇が滞在、宿泊した施設を指し、明治天皇は1872年7月4日から6日にかけて、西郷隆盛らと丸亀を訪れ、碑の立つ場所にあった庁舎が行在所とされました。
調査を担当した岡山県立大学の岡北一孝准教授は、「行在所の碑は各地にあるが、これだけの大きさで装飾を施したものは珍しい」と指摘しています。市によると、庁舎の移転後に碑の設置が決まると市民から寄付が集まり、事業費の8割弱に達したとのことです。岡北准教授は、「地域の歴史を記憶にとどめておきたいという人々の思いが、この碑には込められている」と語り、市民の熱意が反映された貴重な文化財であることを強調しました。



