小学館、性暴力事件関与のマンガ家を別名義で起用 取締役が被害女性に謝罪
小学館は3月9日、マンガ配信アプリ「マンガワン」において、過去に性暴力事件に関与したマンガ家を別の名義で原作者として起用していた問題について、取締役らが被害者の女性側に謝罪したことを明らかにしました。同時に、今後の再発防止策として新たな人権ポリシーの策定などを公表しています。
別名義で起用された山本章一氏と経緯
問題となったのは、同アプリで連載されていた「堕天作戦」の作者である山本章一氏(ペンネーム)です。山本氏は北海道内の私立高校の元教員で、元生徒の女性が山本氏から性暴力を受けたとして、損害賠償を求める民事訴訟を起こしています。注目すべきは、この提訴後に山本氏が「一路一」という別名義で「常人仮面」の原作者として起用されていた点です。
小学館はこの経緯について、第三者委員会を立ち上げて詳細な調査を行う方針を示しました。同社によれば、3月5日に取締役と法務担当者が女性の代理人弁護士と面会し、電話を通じて女性本人に対し「会社の管理監督体制に問題があった」などと謝罪したとのことです。
被害女性の声明「心から望むことは社会全体の取り組み」
一方、女性側の代理人弁護士は8日、所属する法律事務所のホームページを通じて女性の声明を公表しました。声明の中で女性は、山本氏の別名義での起用について「確かにショックでした」と率直な心情を吐露しつつ、次のように述べています。
「私は、前科がある人であっても、絵を描いたりストーリーを考えたりすることはしても良いと思いますし、そういう人に発表の場を与えることも、一概に悪い事だとは考えていません」
その上で、性暴力の問題については「認めて充分な対処をした上で、二度としないと約束してから次に進んでもらいたいと考えていました」と指摘しました。
さらに女性は、小学館に対するインターネット上の批判が炎上することは望んでいないとし、「心から望むこと」として以下の点を強く訴えています。
- 被害の実相を広く社会に知っていただくこと
- 同様の事件が二度と起きないよう、社会全体で子どもを性被害から守る仕組みを構築すること
小学館の対応策 人権ポリシー策定と社内セミナー実施へ
小学館は公式ホームページ上で、「その場で賜りましたご意見を真摯に受け止め、社としてあらゆる人権を尊重する責任を果たすために、今後様々な取り組みを行いますことをお約束いたします」と表明しました。
具体的な対策として以下の方針を公表しています。
- 新たに「人権ポリシー」を策定すること(2026年を目途)
- 社内向けに定期的な人権セミナーを実施すること
同社は東京都千代田区に本社を置く老舗出版社であり、今回の対応が出版業界全体の人権尊重の取り組みに与える影響も注目されます。第三者委員会による調査結果と、今後の具体的な対策の実施状況が、今後の焦点となるでしょう。



