Netflix映画「This is I」、自分らしさを求める輝きの物語
Netflixで独占配信中の映画「This is I」は、男の体で生まれた主人公アイ(望月春希)が、幼い頃から抱いてきた「松田聖子のようなアイドルになりたい」という夢を追い求める姿を描いた作品です。タレントはるな愛の半生を土台に、1980年代から90年代のヒット曲と豪華なダンスシーンをふんだんに盛り込み、カラフルな世界観を展開しています。
性別違和と医師との心の絆
物語は、性別違和に苦悩するアイが、医師の和田耕治(斎藤工)と運命的に出会うことから始まります。和田は、ある患者の経験から医師としての使命に悩んでいましたが、アイとの出会いを通じて、真の意味で人の命を救うことの大切さに気付いていきます。二人の心の紐帯を軸に、自分らしく生き抜くことの真価が浮かび上がる感動的なストーリーです。
全2時間9分の作品の中で、アイは性別違和、いじめ、家族との関係、恋愛、社会の偏見など、多くの試練に直面します。しかし、作品は重く沈み込むことなく、アイドルへの憧れが主人公を突き動かし、輝かせていく様子を描いています。そのキラキラとした輝きは、和田をはじめとする周囲の人々にも伝播し、互いを生かし合う関係性を築いていきます。
カラフルな演出と魅力的な音楽シーン
本作は、光と影をバランスよく描きながら、とにかくカラフルでリズミカルな編集が特徴です。松田聖子の「夏の扉」をはじめとする数々の名曲が使用され、リップシンクでのミュージカルシーンやステージシーンが魅力的に演出されています。特に、大阪の商店街を舞台にした群舞シーン(山下久美子の「赤道小町ドキッ」)は、予想外の楽しさで観客を惹きつけます。
ドラマ面でも、アイと母親(木村多江)とのすれ違いと和解の描写は心に響きます。美術や小道具にも細かい神経が行き届いており、六角ケースのディオールの口紅が映り込むシーンなど、懐かしさを感じさせる演出も見逃せません。
望月春希と斎藤工の見事な演技
主人公アイを演じる望月春希(18歳)は、中学時代から芸能界で花開くまでの人生をいきいきと表現しています。キラキラとした陽性の魅力とダンスシーンの見事さが光り、はるな愛らしさを感じさせる瞬間もあり、物まねとは別次元の演技力を発揮しています。
一方、斎藤工は、アイの伴走者として真摯に役を演じ、物語にしっかりとした柱を築いています。影があるからこそ光が際立つ、そんな深みのある演技で作品を支えています。
Netflix映画でありながら、映画館のスクリーンでも観たいと思わせる一本です。制作はTOHOスタジオが担当し、監督は「Winny」で評価を集めた松本優作、脚本は山浦雅大が手掛けています。はるな愛の自伝的著作「素晴らしき、この人生」と、斎藤が演じる医師・和田耕治と妻の深町公美子の共著「ペニスカッター:性同一障害を救った医師の物語」を参考にしたとされています。



