ベルリン映画祭で四宮義俊監督の長編アニメが公式上映、万雷の拍手に包まれる
ドイツで開催中の第76回ベルリン国際映画祭において、2026年2月18日、最高賞の金熊賞を競うコンペティション部門に出品されている四宮義俊監督(45歳)の長編アニメーション「花緑青(はなろくしょう)が明ける日に」の公式上映が行われた。日本画家としての背景を持つ四宮監督による多彩な映像表現が、国際的な舞台で鮮やかに花開き、観客から万雷の拍手が送られた。
監督の感慨深い言葉と声優たちの感動
上映終了後、四宮監督は取材に対し、笑顔でこう語った。「アニメ映画を作りたいと思った初期衝動を思い出して、一人で余韻に浸っていたいような気持ちです」。この作品は、再開発によって自然や伝統文化が失われていく街を舞台に、老舗の花火工場で育った若者たちが、幻の花火「シュハリ」を打ち上げようと奮闘する物語だ。公式上映には、声優を務めた萩原利久さん(26歳)と入野自由さん(38歳)も出席し、喝采に応えた。
初めて声優を務めた萩原さんは、「この先、何度も今日という日を振り返るんじゃないかなというくらい、ものすごい経験でした」と感慨深げに語った。一方、入野さんは、2002年に同映画祭で金熊賞を受賞した宮崎駿監督の「千と千尋の神隠し」にハク役で出演しており、2度目のノミネートとなる今作で初めて映画祭を現地で経験。「夢を見ているような感覚。この先も声優として頑張っていこうと、改めて思えるような経験でした」と述べた。
四宮監督の背景と創作への情熱
四宮監督は神奈川県出身で、母が機織り職人だったことから、子供の頃から日本の伝統文化に親しんできた。中学の美術教師の影響で日本画の道に進み、東京芸術大学大学院を修了。アニメを学び始めたきっかけは、「今の時代に照らし合わせて、『日本画』の枠組みをどこまで広げられるのか挑戦してみたい」という思いからだ。これまでに「君の名は。」(新海誠監督)の一部シーンの演出や、「この世界の片隅に」(片渕須直監督)に登場する水彩画などを手がけてきた。
満を持して初監督を務めた今作では、自身の地元で子供の頃によく遊んだ海岸が埋め立てられ、花火大会がなくなった経験から、再開発による立ち退きや花火にまつわる物語を着想。作中では実写の映像やストップモーションなど多様な表現が用いられ、「様々な要素を一つの画面にぎゅっと押し込めているのは、木や岩や貝殻などあらゆる物質を材料にする日本画的だと思っています」と語る。
日本アニメの新たな可能性と今後の展開
四宮監督は、日本画の芸術としての魅力と、アニメの幅広い層に訴えかけるパワーを融合させることに力を注いできた。「今作でようやくたどり着けた気がします。日本画への興味の入り口にもなってくれたらうれしい」と述べ、日本アニメの新たな才能として華々しくデビューした瞬間を強調した。
同部門の授賞式は2月21日夜(日本時間2月22日未明)に行われる予定で、日本では3月6日に公開される。この作品は、伝統と革新が交差する現代社会を描きながら、観客に深い余韻を残すことが期待されている。



