北斎と広重の浮世絵対決、幽霊と風景画で競演 郡山市立美術館で開催中
北斎と広重の浮世絵対決、幽霊と風景画で競演

郡山市立美術館で開催中の「北斎・広重 大浮世絵展~二大巨匠!夢の競演」は、江戸時代後期を代表する絵師である葛飾北斎(1760~1849年)と歌川広重(1797~1858年)の浮世絵名品を一堂に集めた展覧会です。本展では、題材や表現などさまざまな観点から両巨匠の「対決」を楽しむことができます。担当学芸員の塚本敬介さんと新田量子さんに、その見どころを伺いました。最終回となる今回は、「幽霊」と「同じ場所」というテーマに焦点を当てます。

対決その4「幽霊」

1枚、2枚……。主人の皿を割ってしまい殺され、井戸に投げ込まれたお菊。その幽霊が夜な夜な皿を数えるという怪談「皿屋敷」を題材に、両巨匠はコミカルな浮世絵を描きました。北斎の「百物語 さらやしき」と広重の「広重戯筆 お菊幽霊、いもとたこ」から、2人のユーモアに注目します。

お菊の描き方の違い

塚本さん:北斎のお菊は、首が連なる皿でできていて、不気味でありながらどこか滑稽です。よく考えられてイメージ化されているように思います。

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新田さん:広重の作品では、お菊が割れた皿を手に、焼き接ぎ屋に修理をお願いしています。依頼された男性は驚いて腰を抜かしていますね。

塚本さん:広重はユーモアに振り切っている感があります。これは完全にパロディーでしょう。

怪談と浮世絵のつながり

塚本さん:「皿屋敷」は広く知られた怪談で、両作ともに分かる人が見れば笑えるようになっています。焼き接ぎ屋も幽霊がお菊だと分かっているはずです。

新田さん:有名な話だからこそ成り立つ浮世絵ですよね。ただ、広重は怪談よりも笑いを重視しているように見えますが。

「どっち派」か

新田さん:芸術性を感じるのは北斎。遊び心でいえば広重でしょうか。まさかお菊が皿を修理に出すとは思いませんでした。

塚本さん:首が皿でできたお菊が井戸から出てくるという北斎の発想もすごい。甲乙つけがたいものがあります……。どっちも好きです。

対決その5「同じ場所」

風景画を得意とした両巨匠。北斎の「冨嶽三十六景 東海道金谷ノ不二」と広重の「東海道五拾三次之内 金谷 大井川遠岸」は、いずれも現在の静岡県を流れる大井川を題材にしていますが、「同じ場所」とは思えない表情を見せます。

対照的な雰囲気

塚本さん:大井川の川渡りです。この場所は防衛上の観点から橋が架けられなかったようです。北斎の川は波打つ海のようで、その中で人が人を背負っていて、川を渡るのは相当大変そうに見えます。

新田さん:北斎の激しさ、広重の穏やかさ。作風の違いがよく見て取れます。北斎は少し誇張している感がありますね。川渡りの困難さを強調しているのかもしれません。現代人もそう読み取るでしょう。

姿勢の違い

新田さん:広重は風景としての美しさを追求していたのかもしれません。

塚本さん:風景画ではあっても、北斎は川の流れや人の動きに注目しています。人物は広重でいえば風景の一部といったところでしょうか。

「どっち派」か

新田さん:風景画としては広重です。一方で北斎は川を渡る過酷さが伝わってきます。それぞれ着眼点が違いますね。

塚本さん:北斎の方が好きかな。大変でしょうけど、みんなでかごを担いでいたりと、お祭りみたいで楽しそうです。

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映えスポット

展示室の外には、葛飾北斎の「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」をあしらった迫力満点のフォトスポットが来場者を待ち構えています。画中の船乗りたちと一緒に波にもまれるもよし、飲まれるもよし、乗るもよし、浸るもよし。想像力次第で楽しみ方は無限大です。交流サイト(SNS)でも映えそうなこのスポットで、思い思いのポーズをとって浮世絵の世界に没入してみてはいかがでしょうか。

展覧会情報

  • 会期:6月21日まで
  • 時間:午前9時半~午後5時(入館は午後4時半まで)
  • 休館日:月曜日
  • 観覧料:一般1500円、高校・大学生1000円、中学生以下と障害者手帳をお持ちの方は無料
  • 主催:実行委員会(郡山市立美術館、福島中央テレビ、福島民友新聞社)
  • 問い合わせ:福島中央テレビ事業部(電話)024-924-1100(平日午前9時半~午後5時半)
  • 公式サイト:大浮世絵展公式サイト