7カ国語で語る国際派の落語家がいる。東京都西東京市に住む三遊亭竜楽さん(67)は、これまで12カ国・地域70都市以上で口演してきた。しかし、外国語がペラペラというわけではない。国境を越えたお笑いの文化交流で「平和」を届けたいという思いから、外国語に訳した演目を丸暗記し、この夏もフランスに渡る。
落語家への道のり
前橋市出身の三遊亭竜楽さんは、中央大学法学部を卒業後、司法試験に4度挑戦したが断念。その後、落語界へ飛び込んだ。「やめるための方便として、誰もが考えつかないような世界に飛び込む必要があった」と振り返る。
人気テレビ番組「笑点」の顔でもあった故・五代目三遊亭円楽に入門。「人がやらないことをやれ」との教えから、挑戦心を学んだという。
外国語での口演のきっかけ
外国語で演じるようになったきっかけは、2008年秋にイタリアのフィレンツェを訪れたときのことだ。日本文化を紹介するイベント「フェスティバル・ジャポネーゼ」に招かれ、口演を求められた。イタリア語はできなかったが、断れなかった。
イタリア語の字幕を用意する予算はなく、翻訳した演目を丸暗記することに。イタリア人に読んでもらった演目の録音を何度も聞き、一つ一つの単語を確かめながら覚えていった。
しかし、用意した演目のすべてを覚えるのは容易ではなかった。それでも、三遊亭竜楽さんは努力を重ね、現在では7カ国語で落語を披露できるまでになった。使用言語は英語、フランス語、イタリア語、スペイン語、ドイツ語、中国語、韓国語。それぞれの言語で、古典落語を中心に演じている。
平和への願い
三遊亭竜楽さんは、落語を通じて平和を届けたいと語る。「言葉の壁を越えて笑いを共有することで、国や文化の違いを超えた理解が生まれる。それが平和につながると信じている」と述べている。
この夏もフランスのアビニョン演劇祭に参加予定で、南京玉すだれなどの伝統芸も交えたパフォーマンスを披露する。また、現地の学校や文化施設でも口演を行い、日本文化の発信に努めるという。
今後の活動
三遊亭竜楽さんは、今後も海外での活動を続けていく方針だ。現在はさらに多くの言語を習得するため、勉強を続けている。また、日本国内でも多言語落語の公演を行い、在日外国人や観光客にも楽しんでもらえるよう努めている。
「落語は日本文化の宝。それを世界に広めることが私の使命」と語る三遊亭竜楽さん。ペラペラではないけれど、その熱意と努力が国境を越えた笑いを生み出している。



