群馬県伊勢崎市の出身で、茨城県土浦市を拠点に紙芝居師として活動する石原之寿(いしはらのことぶき)さん(67)が、地域の祭りやイベントで紙芝居を披露している。チンドン屋や道化師(クラウン)の活動と掛け持ちしながら、上州の食や人物を題材にした作品づくりにも力を注ぎ、「こころわくわく」をモットーに故郷と拠点を往復して街に笑顔を運んでいる。
紙芝居師としての歩み
石原さんは伊勢崎で生まれ育ち、大手化粧品メーカーで営業マンとして全国を飛び回った。40代の頃、営業先で偶然目にしたチンドンのにぎやかさに心を動かされ、「人を楽しませたい」と一念発起。仲間と一座を立ち上げ、イベント出演や災害被災地への慰問など、街のにぎやかしに励んできた。その後、道化の活動も始め、医療や福祉の現場に笑顔を届けてきた。
紙芝居への転身
定年が近づいた頃、第二の人生を考えた石原さんは、チンドンは複数人で動くことが多い一方、紙芝居なら一人でもできると判断。先輩紙芝居師の助言もあり、定年後に本格的に紙芝居活動へ踏み出した。口演するのは創作話が中心で、地域の歴史や出来事を物語に編み直した作品をこれまでに10点ほど制作。現在暮らす土浦では特産のレンコンやご当地グルメのカレー料理などを、群馬では焼きまんじゅうや義賊国定忠治などを題材にしている。
独自の口演スタイル
営業職時代に培った巧みな話術と人懐っこい愛嬌で、観客の表情を見ながら間合いや声色を変えていくのが石原さん流。「同じ話でも、相手が変われば反応も変わる。その瞬間が面白い」と語る。伊勢崎では、高校時代の同級生が宮司を務める伊勢崎神社で定期口演を行っている。幼稚園児の頃から訪れている地元の小学3年生、待鳥月乃さん(8)は「何度見ても、聞いても楽しい」と笑顔を見せる。観客にプレゼントされる駄菓子や玩具も評判で、口演中は昭和レトロな雰囲気が漂う。
今後の展望
「出会い、交流、協働、そして創造」を掲げる石原さん。活動の根底には「こころわくわく」という思いがあり、自分自身が楽しむことを大切にしながら、見た人が少し元気になったり、何かを思い出したりする時間を創りたいと願っている。土浦と伊勢崎を行き来しながら、今日も小さな舞台で街の物語を語り続けている。



