愛媛県が推進する「わなオーナー制度」、食害対策に新たな輪を広げる
愛媛県のわなオーナー制度、食害対策に新たな輪

愛媛県が食害対策で新制度を推進、わなオーナー制度で狩猟の輪を拡大

愛媛県では、シカやイノシシによる農作物や希少植物への深刻な食害に対処するため、「わなオーナー制度」を積極的に進めています。この制度は、一口5000円で出資者を募り、狩猟用のわな設置を支援するものです。オーナーに登録すると、特典として狩猟見学ツアーへの参加や、捕獲された野生動物を使ったジビエ料理を味わうことができます。食害の現状を広く知ってもらい、対策に賛同する人々の輪を広げることを目的としています。

狩猟ツアーで食害の実態を学ぶ

西条市の石鎚山麓では、わなオーナー制度の一環として狩猟ツアーが実施されています。参加者は、わなの設置方法や野生動物の生態について学び、実際にわなが作動する様子を観察します。例えば、2026年1月12日には、ツアー参加者がわなに棒を差し入れると、金属製のワイヤが瞬時に挟まる音が響きました。NPO法人西条自然学校の職員が、周辺に多いニホンジカの習性を説明し、食害の深刻さを伝えました。

参加した西条市の主婦、伊藤有香さん(54)は、「人間が大昔から続けてきた狩猟について学ぶことができ、感慨深い体験だった」と語り、満足そうな表情を見せました。ツアー後には、シカ肉を使った炒め物やロースト肉が振る舞われ、参加者はジビエ料理の美味しさを実感しました。調理を担当したNPOの山本貴仁理事長(54)は、「火を通しすぎず、味付けを工夫すれば、シカ肉は本当にうまい」とPRし、食害対策と食文化の融合をアピールしました。

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食害の深刻化と対策の必要性

愛媛県内では、野生動物による食害が年々深刻化しています。県のデータによると、2024年度の農作物被害額は約5億円にのぼり、前年から約1億6000万円増加しました。物価高の影響もあり、被害額の増加が懸念されています。さらに、森林被害面積は277ヘクタールで、これは東京ドーム約59個分に相当します。特に、東予の赤石山系に自生する県固有種のオトメシャジンがシカの食害に遭うなど、貴重な高山植物の減少も問題となっています。

こうした状況を受け、愛媛県は2024年4月、民間団体など約30の組織と連携して県ニホンジカ対策植生保全協議会を設立し、わなオーナー制度を開始しました。この制度は、狩猟に関心を持つ人々を増やし、積極的にシカの個体数を減らすことを目指しています。制度は1年ごとに募集され、2024年度には14口12人、2025年度には12口11人が登録しました。出資金は、NPO法人がシカなどがよく通る道にわなを設置する費用などに充てられ、これまでに約20か所に設置が進められています。

攻めの姿勢で食害対策を強化

県の担当者は、「狩猟に関わる人を増やすことで、食害対策に『攻め』の姿勢を示したい」と話しています。わなオーナー制度を通じて、地域住民や観光客など多様な人々が食害問題に関わり、対策への理解を深めることが期待されています。この取り組みは、単なる被害軽減だけでなく、狩猟文化の継承やジビエ料理の普及にもつながり、持続可能な地域づくりを後押しする可能性を秘めています。

愛媛県では、今後もわなオーナー制度の拡大を図り、食害対策の輪をさらに広げていく方針です。参加者からのフィードバックを活かし、ツアーの内容や特典を充実させることで、より多くの人々の関心を集め、野生動物と人間の共生に向けた取り組みを強化していく見込みです。

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