茨城・東海第2原発再稼働に反対する有機農家の声
茨城県坂東市で40年以上にわたり無農薬・無化学肥料の有機農業を営む清水美智子さん(71)が、日本原子力発電東海第2原発(東海村)の再稼働に強く反対している。東京電力福島第1原発事故の経験から、原発が農業と食の安全に与えるリスクを訴えている。
福島原発事故の衝撃と農業への影響
清水さんは幼い頃から植物を育てるのが好きで、東京農業大学に進学。大学時代に有機農業と出会い、卒業後は同じく有機農業を志す夫と結婚。1986年から夫婦で「清水農園」を営み、ハクサイやキャベツ、コマツナ、トマトなどの露地野菜を栽培してきた。
2011年の福島第1原発事故は、清水さんにとって大きな衝撃だった。「農薬や化学肥料より悪いものが来た」と当時を振り返る。放射性物質による汚染の可能性に直面し、「何のために無農薬でやってきたのか、まったく意味がなくなってしまう」と愕然としたという。
事故直後は自宅から出られない日々が続き、ポストに積もった黄色い花粉が放射性物質ではないかと市に問い合わせたこともあった。県内ではホウレンソウや原乳が出荷停止になるなど、農業関係者に大きな影響が出た。
検査体制の確立と継続的な懸念
清水農園の野菜を出荷している常総生活協同組合(守谷市)は、事故直後から放射性物質の検査を開始。自前の測定機を導入し、現在もすべての作物を検査している。この検査体制が「農業を続けていける」と判断する一因となった。
しかし、常総生協の組合員の中には、食や環境の安全を心配して関西などに移住した人もいた。清水さん自身も一時は坂東市を離れることを考えたが、子どもが独立して夫婦2人になったため、「大人だけなら食べ物に気をつければ大丈夫か」と考え直したという。
東海第2原発への具体的な懸念
清水さんは現在、東京高等裁判所で審理が続く東海第2原発の運転差し止め訴訟の原告となっている。その理由について、以下の点を挙げている:
- 老朽化の問題:運転開始から47年が経過した古い原発で、機械の劣化が懸念される
- 地震リスク:日本は地震大国であり、能登半島地震のような大規模地震が再び発生する可能性
- 事故の記憶:福島原発事故で初めて「当事者」となった経験から、同じ過ちを繰り返したくない
東日本大震災では、東海第2原発は放射性物質の拡散を伴う大事故には至らなかったものの、津波による設備損傷があった。清水さんは「再稼働しなくても、核燃料などの放射性物質はそこにある」と指摘し、廃炉を強く求めている。
エネルギー政策への提言
清水さんは原発依存からの脱却を訴え、「電気は、再生可能エネルギーで確保すればよい」と主張する。40年以上有機農業に携わってきた経験から、自然と調和した持続可能な社会の実現を願っている。
福島原発事故から13年が経過した今も、「忘れることはない。当事者だから、なんとかしなければいけない」という思いは変わらない。農業と食の安全を守るため、原発再稼働に反対する姿勢を貫いている。
清水農園では現在、常総生協を中心に出荷を続けており、一つ一つの作物が安全であることを確認しながら、有機農業の理念を守り続けている。



