奈良市が猿沢池周辺で温泉脈調査を実施 観光客の滞在時間延長と消費増を目指す
奈良市は、温泉を観光の新たな起爆剤として活用するため、猿沢池周辺での温泉源調査に本格的に取り組むことを決定しました。観光客の滞在時間延長や消費額増加につなげることを目的としており、地質調査などに1414万円の新年度予算案を計上しています。
温泉施設候補地は興福寺や猿沢池近くを想定
温泉施設の候補地として、興福寺や猿沢池近くの「ならまちセンター」周辺が想定されています。具体的な調査方法としては、電磁波を用いた地質調査を実施し、断層の割れ目などに温泉脈が存在するかを詳細に調べる予定です。
さらに、温泉施設がもたらす経済効果の算出や、周辺地域のにぎわい創出計画の策定も同時に進められます。猿沢池周辺には多くの宿泊施設が立ち並んでいますが、源泉を有する温泉施設は現状では存在せず、市は外湯としての利用を見込んでいます。
宿泊率の低さが長年の課題 京都市や神戸市を大幅に下回る
奈良市では長年にわたり、観光客の宿泊率の低さが大きな課題となっています。市の調査によると、2024年の宿泊客数は過去15年で最高となる約203万8000人を記録しましたが、観光客全体に占める宿泊客の割合は13.7%に留まっています。
この数値は、京都市の29.1%や神戸市の28.1%を大幅に下回っており、改善が急務となっています。また、観光消費単価においても、宿泊客の3万1754円に対し、日帰り客は4938円と大きな差が生じている状況です。
温泉による年間を通じた観光客の平準化を期待
奈良市は、温泉整備によって冬季の観光客減少を緩和し、宿泊客数の年間を通じた平準化も期待しています。観光戦略課の担当者は次のように述べています。
「奈良には癒やしを求めて訪れる観光客も多く存在します。温泉という新たな要素を加えることで、奈良旅行の高付加価値化を目指していきたいと考えています。」
この取り組みは、単なる温泉開発にとどまらず、奈良の観光全体の質的向上と経済的効果の拡大を図る重要な施策として位置付けられています。



