愛知信用金庫が未成年起業家への初融資を実行 アニメビジネスに可能性を感じて
スタートアップを起業する未成年者が注目を集める中、愛知信用金庫(本店:名古屋市)は初めて、未成年の起業家への融資を実行した。この画期的な融資は、日本のアニメ文化に関わるビジネスに可能性を感じたことが背景にある。全国的にも未成年起業家への融資は珍しい事例として注目されている。
18歳社長がアニメファン向けプラットフォームを展開
融資を受けたのは、名古屋市千種区に本社を置く「RASEN(らせん)」を経営する菊池将成さん(18)。菊池さんは昨年3月に同社を設立し、アニメファン向けの独自サービスを展開している。主力サービスは「RASENWATCH」というプラットフォームで、VTuberのリアクション動画とアニメ本編を同時に再生できる機能を提供。無料で利用可能なこのプラットフォームは、アニメの宣伝受託事業などで収益を上げている。
菊池さんは中学生時代に不登校を経験し、2年前に名古屋市内の私立高校を中退。現在は社長業に専念しており、起業には会社役員である父親の後押しもあったという。「融資を一度受けたことが信用につながる。本当に心強い」と菊池さんは事業拡大への意欲を語る。
愛知信金が可能性を評価 保証協会と連携して実現
愛知信用金庫はこれまで20社以上のスタートアップに融資してきたが、未成年への融資実行は初めての試み。同信金の鈴木勝也理事は、菊池さんのビジネスについて「海外にも誇れる日本のアニメ文化に関わるビジネスで、可能性を感じる」と評価。昨年から菊池さんとの話し合いを進めてきた。
融資実現には、保証人となる愛知県信用保証協会との調整が不可欠だった。契約時には菊池さんの父親にも同席してもらい、今年3月に200万円の融資を実行。鈴木理事は「融資を受けた前例ができれば、才能ある人が若くして経営者となる機運も高まるのでは」と期待を寄せる。
未成年起業家の資金調達手段が多様化
今回の融資は、成人前に起業する若者たちの資金調達手段の多様化につながる可能性がある。同じく名古屋市で活動する未成年起業家、名城大学付属高校の野田樹里さん(17)は、一重まぶたを魅力的にするコスメを掲げて起業。3月にはクラウドファンディングで300万円を集めた実績を持つ。
野田さんは「価値観を広げることに重点を置いてクラウドファンディングを選んだが、VCの出資や金融機関の融資も、より大きな資金やスピードという面でとても魅力的だと思う」とコメント。さまざまな資金調達手段の可能性を示している。
スマホアプリも発表 社会貢献への意欲
菊池さんは今月、RASENWATCHのスマートフォン向けアプリを発表。さらなる事業拡大に向けて動き出している。「今年こそ、自分はこれで社会に貢献するんだというのを見せたい」と力強く語る菊池さん。愛知信用金庫の支援を受け、日本のアニメ文化を支える新たなビジネスが成長していくことが期待される。
この事例は、金融機関が伝統的な融資基準を見直し、若い起業家の可能性を積極的に評価する動きの一端を示している。地域経済の活性化と次世代産業の育成という観点から、今後も注目される展開となりそうだ。



