宝くじ売上減で自治体が財政ピンチ 中部7県で収益金が最大5割減少
宝くじ売上減で自治体が財政ピンチ 収益金が大幅減少

宝くじ売上減少が自治体財政に影 収益金配分の大幅減で対策急務

宝くじの売り上げが減少傾向にあり、都道府県と政令指定都市に入る収益金も下降基調が続いている。特に中部地方の7県(愛知、岐阜、三重、長野、福井、滋賀、静岡)に所在する10の自治体では、収益金収入がピーク時と比較して2割から5割程度も減少している状況だ。この収益金の配分は各地域の販売実績によって変動するため、独自の販売促進策を打ち出す自治体が増えている。

歴史的背景と収益金の使途

宝くじの起源は寺院でお守りを授ける抽選行事に遡り、金銭が当たるくじとして江戸時代初期に流行した。その後、時代の流れと共に禁止と緩和を繰り返し、明治以降は一部の金融商品を除いて規制されてきた。終戦直後の1945年秋、政府は国民の手元資金を回収してインフレ抑制を目的に「第1回宝籤(くじ)」を発売。翌1946年には戦災復興の資金調達のために都道府県による販売が可能となり、後の法改正で政令指定都市も販売できるようになった。

宝くじの種類も多様化が進み、表面を削ると当落が分かる「スクラッチ」や、自分で数字を選ぶ「ロト」などが登場している。総務省や宝くじ公式サイトのデータによると、売上額のピークは2005年度で1兆1千億円を記録したが、2024年度は7598億円と3割以上減少し、1993年度以来31年ぶりに7600億円を下回った。

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売上額の内訳は約46%が当せん金に、約36%が収益金として発売元の47都道府県と20政令市に配分される。この収益金は各自治体が地方財政法などに基づき、少子化対策や防災事業、文化・芸術振興など多岐にわたる公共事業に充てられている。

自治体の財政への影響と対応策

2024年度の収益金収入が75億円とピーク時より4割以上減少した名古屋市の担当者は、収益金の先細りを「財政が厳しくなる要因の一つ」と懸念を示している。一方で、自治体にとって収益金は使途が特定されない一般財源に組み込まれるため、「減少の影響が見えにくい」という側面もあると愛知県は指摘する。

各自治体は売り上げ増加を目指し、イベント会場での出店販売や交流サイト(SNS)を活用した広告、商業施設でのプロモーションなどに注力している。滋賀県ではスマートフォンの位置情報を利用したウェブ広告を導入し、売り場への誘導策を強化。福井県では2024年度、収益金の7割を子ども医療費の助成や児童科学館の運営費といった子育て関連事業に充当し、その使い方をポスターで周知することで「宝くじの意義を伝えたい」としている。同県では年末ジャンボ宝くじを6千円以上購入した人を対象にプレゼントが当たるキャンペーンも実施し、新たな集客策を模索している。

売上低迷の背景と専門家の見解

宝くじの売り上げが低迷している背景について、ニッセイ基礎研究所の篠原拓也主席研究員は、若い世代で少額投資非課税制度(NISA)などの投資への関心が高まったことを一因として挙げる。「『夢を見るためのもの』という認識は時代に合わなくなった。『基本的に損をするゲーム』という印象が広がっている」と分析する。

篠原氏は「宝くじを金融商品ではなくエンターテインメントとして再設計し、体験価値を強化することが求められる」と指摘。販売額の回復に向けて、一獲千金につながるという特徴を前面に出したアピール策を提言している。

自治体にとって重要な財源である宝くじ収益金の減少は、地域の公共事業に直接的な影響を与える可能性が高く、今後も販売促進策の効果が注目される。

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