第36回南方熊楠賞に野本寛一氏が選出 民俗学者の功績を顕彰
和歌山県田辺市と南方熊楠顕彰館は、3月19日、第36回南方熊楠賞の受賞者として民俗学者の野本寛一近畿大学名誉教授(89歳)を選定したことを正式に発表しました。授賞式は5月9日に同市で開催される予定です。
徹底したフィールドワークによる業績が評価
野本氏は、長年にわたり日本各地で徹底したフィールドワークを実施し、生活史や民俗に関する貴重な資料を収集してきました。その研究は、人々の暮らしや生業が自然環境との密接な関わりの中で営まれてきたことを、現場の実態から明らかにした点が高く評価されています。
選考委員会は、野本氏の業績について「地域社会の変遷を丹念に記録し、現代社会が直面する環境問題や過疎化への洞察を提供した」と評しました。特に、山村や海村における伝統的な生活様式の記録は、学術的に極めて重要な価値を持つとされています。
野本氏のコメント:現代社会への警鐘
受賞決定を受けて、野本氏はコメントを発表しました。氏は「地球温暖化に連動して海や山の環境変化が急速に進み、山村・海村の過疎化や少子化が顕著になっている」と指摘。さらに「こうした時代状況だからこそ、南方熊楠翁のような深い思索に根ざした発信力が求められている」と強調しました。
野本氏は、民俗学の研究成果が現代の社会問題を考える上で重要な示唆を与えると述べ、今後の研究活動への意欲も示しています。
南方熊楠賞の意義と今後の展望
南方熊楠賞は、博物学者・民俗学者として知られる南方熊楠の業績を顕彰し、関連分野で優れた功績を挙げた人物を表彰する賞として設けられました。今回の野本氏の受賞は、民俗学の実践的な研究が社会に与える影響を再認識させる機会となっています。
授賞式では、野本氏の研究活動を紹介する展示や講演会も計画されており、地域住民や研究者の参加が期待されています。この受賞を契機に、民俗学や環境問題への関心がさらに高まることが見込まれます。



