緒川たまきとKERAのケムリ研究室、新作「サボテンの微笑み」で繊細な兄妹劇を展開
緒川たまきとKERA、新作で兄妹の繊細な会話劇

ケムリ研究室の新作「サボテンの微笑み」、29日に東京で開幕

劇作家・演出家のケラリーノ・サンドロヴィッチ(KERA)と妻で俳優の緒川たまきによる演劇ユニット「ケムリ研究室」の新作「サボテンの微笑み」が、3月29日に東京で開幕する。本作は、KERAが得意とするナンセンスな要素を抑え、大正から昭和初期の日本を舞台に、ひっそりと暮らす兄妹を中心に展開するレトロ調の会話劇だ。

岸田國士に触発された繊細な世界観

緒川たまきは、本作の狙いについて「公演に行ってよかったと思っていただけることが一番でしょう」と語る。KERAは新しいことに挑戦する作家だが、ケムリ研究室では「あまり得意でないことにも果敢に挑戦する場」として機能しているという。前作「最後のドン・キホーテ」のような大空間での群像劇とは異なり、登場人物の心情に寄り添った繊細な会話が続く。

触発されたのは、大正から昭和初期に洒脱な戯曲を書いた岸田國士だ。KERAはかつて彼の短編をコラージュした作品を演出し、緒川も出演した経験がある。「市井の人々もお金持ちも描くけどひょうひょうとしていて、重い題材を描く時もカラッと乾いている。その点がKERAさんの趣味と合う」と緒川は説明する。当時の文学作品や記録映像を見ると、人々が元気で楽しそうに映り、キラキラと魅力的だと感じたという。

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異様に関心の強い兄妹を描く

本作では、劇作家・演出家としても活躍する赤堀雅秋と緒川が兄妹を演じる。兄は植物を恋人のように愛し、妹は読書好きで空想の世界に浸り気味だが、お互いへの関心が異様に強いという設定だ。緒川は「異性の兄妹って補い合うイメージが私にありましたが、物語の兄妹は仲良く転んでしまう。演じていると、一緒に寂しさを抱えているとわかる。この関係性って愛せるなと思う」と語る。

兄妹宅を訪れる人々の中には、実の兄妹である瀬戸康史と瀬戸さおりが演じる男女も登場する。どんな間柄で登場するのか、観客の楽しみの一つとなっている。

台本は一言一言から話し合って作成

ケムリ研究室は2020年に旗揚げされ、今回で5回目の公演となる。緒川の主な役割は衣装と小道具で、「やることが多すぎて、丁寧でなくなるのが怖いので、私ができることはやる、という感じです」と語る。台本はKERAと緒川の2人で一緒に書いており、「どういうシーンを持ってきて、どんな会話をさせるか。細かい一言一言から話し合ってます」と明かす。

自身の変化について、緒川は「体力がいることを感じてます。役者の仕事でないことが物理的に増えるので」と述べ、さらに「自分の役を作り上げて任務が終わるのでなく、作品がちゃんと仕上がるかがものすごく心配で大事。そういう気持ちの強さはケムリ研究室が教えてくれました」と付け加えた。

他の出演者には鈴木慶一、萩原聖人、清水伸が名を連ねる。公演は4月19日まで三軒茶屋・シアタートラムで開催される。問い合わせは電話03・5485・2252まで。

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