端午の節句を前に「張子虎」の制作が最盛期に
5月の端午の節句を控え、香川県西讃地方に伝わる伝統的工芸品「張子虎(はりこどら)」の制作が、現在ピークを迎えています。この張子虎は、子どもの健やかな成長を願う地域の風習として親しまれており、威勢よくほえる姿や逆立つ白いひげ、ゆらゆらと揺れる首が特徴です。
明治時代創業の工房で手作業による丁寧な制作
明治時代初期に創業した香川県三豊市の「田井民芸」では、5代目で県伝統工芸士の田井艶子さん(78歳)が職人たちと協力し、年間約1000個の張子虎を手作業で仕上げています。制作工程は、木型に和紙を重ね張りして頭と胴、尾を作り、白色の顔料を塗って乾燥させた後、黄色に着色します。その後、しま模様や表情を描き込み、馬の尾の毛でできたひげをつけて完成させます。
張子虎は全長12センチから120センチまでの13サイズがあり、一つ完成するまでに約1か月の時間を要します。この丁寧な手作業により、一つひとつに職人の想いが込められています。
地域の伝統を次世代へ継承する思い
田井さんは、「子供の成長を願う地域の伝統を、次の世代に確実に伝えられるように、心を込めて作り続けたい」と語っています。張子虎は、単なる工芸品ではなく、家族の願いや地域の文化を象徴する存在として、端午の節句の飾りとして大切にされています。
この伝統工芸は、現代でも多くの人々に愛され、季節の行事を通じて日本の豊かな文化を伝える役割を果たしています。香川県では、こうした手作りの温かみが評価され、張子虎は地域の誇りとして継承され続けています。



