岐阜和傘塾が4月に本開校 若き職人志望者が1年の修行を振り返る
岐阜県の伝統工芸品である岐阜和傘の後継者不足解消を目指す「岐阜和傘塾」が、1年間のプレ開校期間を経て、2026年4月に本格的に開校する。この取り組みは、職人らで構成される岐阜和傘協会が主宰しており、伝統技術の継承に新たな風を吹き込もうとしている。
江戸時代から続く伝統 現代における岐阜和傘の現状
岐阜和傘は江戸時代中期から製造が始まり、特に岐阜市加納地区を中心に発展してきた。美濃和紙を使用したこの工芸品は、最盛期の昭和20年代には年間1500万本が生産されるほど隆盛を極めた。2022年には国の伝統的工芸品に認定され、その価値が改めて認められている。
現代では日常生活で和傘を使用する機会はほとんどないが、歌舞伎などの伝統芸能や寺社で行われる行事では欠かせない存在だ。協会によると、全国生産量の半分以上が岐阜県内で生産されているものの、職人の高齢化が進み、後継者不足が深刻な課題となっている。
1期生の27歳女性が語る修行の日々
プレ期間の1期生として和傘作りに取り組んだ後藤佳内子さん(27)は、郡上市出身。専門学校卒業後は作業療法士として働いていたが、幼少期から好きだったものづくりの道へ進むことを決意。県内の伝統工芸品を調査する中で、岐阜和傘の美しさと「当時の日常生活を追体験できる」魅力に引き込まれ、入塾を決めた。
後藤さんは1年間で18本の和傘制作に携わり、技術を磨いてきた。初めは1本の傘を完成させるのに6日間かかっていた作業が、現在では3日間に短縮。特に苦労したのは、帯状の長い和紙を傘の先端の骨にはめ込む工程だったという。
「使う工具も見たことがないものばかりで、始めは雨漏りする傘になってしまいました」と後藤さんは笑いながら振り返る。2年目は和紙に油や漆を塗る作業などを学び、一人前の和傘職人を目指すという。
和傘塾のカリキュラムと今後の展望
岐阜和傘塾は岐阜市湊町の和傘体験施設「長良川てしごと町家CASA」で、毎週月・火・水曜日に各4時間開催されている。和傘生産は分業制で、竹で骨を作る工程や、柄と骨をつなぐ「ろくろ」の製造には専門職人が携わるが、それ以外の工程を塾生たちが学んでいる。
4月からの本開校では、20代から40代の男女3人が新たに入塾を決めた。岐阜和傘協会の理事で、76歳のろくろ職人・長屋一男さんは「塾で学んだ職人が増え、業界全体が盛り上がっていけば」と期待を寄せる。
協会事務局長の河口郁美さんは「岐阜和傘を守ることは日本の伝統文化を守ることにつながります。若い世代が興味を持ってくれているので、職人として活躍できるようになってほしい」と語る。
岐阜和傘塾の本格始動は、高齢化が進む伝統工芸界に新たな息吹をもたらす試みとして注目されている。後藤さんのような若い才能が加わることで、岐阜和傘の未来がより明るいものになることが期待される。



