江戸川区の田島硝子、日産2500個の手作りガラスで伝統革新 富士山グラスやアニメコラボで世界へ
田島硝子、日産2500個の手作りガラスで伝統革新 (19.03.2026)

江戸川区の田島硝子、日産2500個の手作りガラスで伝統を革新

東京都江戸川区に本社を置く田島硝子は、1956年の創業以来、江戸硝子と江戸切子の製造を手がける代表的な企業です。約1400度の炉を備えた熱気あふれる工房では、45人の熟練職人たちがガラスを吹き、繊細な模様を刻みながら、1日に約2500個ものガラス製品を完成させています。この驚異的な生産量は、伝統技術と現代の需要を見事に融合させた結果です。

富士山グラスが訪日客と日本人を魅了

同社が2015年1月に発売した「富士山グラス」は、国内外で大きな人気を博しています。グラスにウイスキーやウーロン茶を注ぐと、底から雪をまとった夕焼けの富士山が浮かび上がる仕掛けで、その作り方は企業秘密とされています。田嶌大輔社長(50)は、「外国人が持つ日本のイメージのひとつは富士山です。また、富士山を使ってもロイヤルティーがかからない点も魅力です」と笑顔で語ります。この製品は、インバウンド(訪日客)向けとして開発されましたが、日本人の間でも高い評価を得て、伝統工芸の新たな可能性を示しています。

職人の技と柔らかい口当たりの秘密

田島硝子のガラス製品は、その柔らかい口当たりと厚みが特徴です。田嶌社長によれば、この厚みは「職人の感覚で作られている」もので、機械では再現できない熟練の技に支えられています。現在、職人の最高齢は江戸切子部門で77歳、吹きガラス部門で66歳と、経験豊富なベテランが現場を支えています。しかし、社長は「見て覚えろ」「しかって教える」といった従来の指導法はもはや通用しないと指摘し、各世代を広く採用して気軽に話しやすい環境づくりに力を入れています。

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伝統を守る感覚はない、現代のニーズに応える姿勢

田嶌社長は、「伝統工芸を守っている感覚はない」と語ります。その背景には、有名キャラクターやアニメとのコラボレーションなど、現代の客のニーズに応える積極的な取り組みがあります。社長は、「ものづくりは楽しいが、98%はつらいことばかり。腕のある職人がいても、仕事量が安定していなければ会社は揺らぐ」と、業界の厳しさを率直に述べています。こうした現実的な視点を持ちながらも、同社は江戸時代から続く技術を令和の時代に継承し、ガラス製品の温もりを生み出し続けています。

田島硝子は、2025年度のしんきん優良企業(東京都信用金庫協会など主催)に選ばれた首都圏の光る中小企業の一つです。伝統と革新を両立させ、日々2500個の手作りガラスを製造する同社の取り組みは、地域経済や文化の継承において重要な役割を果たしています。今後も、訪日客や若者をターゲットにした製品開発を通じて、日本の伝統工芸を世界に発信していくことが期待されます。

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