21歳の若き万年筆修理職人、島根で情熱を燃やす 手書き文化の未来を担う
21歳の万年筆修理職人、手書き文化の魅力を伝える (27.03.2026)

21歳の若き万年筆修理職人、島根で情熱を燃やす

松江市の文具店で、21歳の青年が万年筆の修理人として働いている。筆記具の多様化やデジタル化が進む中、万年筆の修理職人は減少傾向にあると言われており、新たな担い手の登場に愛好家からは期待の声が高まっている。青年の目標は、専門店を開業し、手書き文化の魅力を広げていくことだ。

分解と構造研究から始まった情熱

島根大学材料エネルギー学部の3年生、山田航士さんは、2024年夏から松江市の文具店「はらぶんパピロ21」で万年筆担当としてアルバイトをしている。これまでに約350本の万年筆を手がけ、ペン先やインクの出方の調整を行ってきた。山田さんは、「ペン先の削れやそり具合から、持ち主の利き手や書き癖、個性が分かる。それに合わせて仕上げるのが醍醐味です」と語る。

万年筆に興味を持ったのは中学時代、通学路の文具店でショーケース内に輝く万年筆を見たのがきっかけだった。高校生になって親友からパイロット製の万年筆をもらい、その滑らかな書き心地に感動。実物を分解して構造を研究し、専門書やインターネット動画を参考に修理技術を磨いた。

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近くの老舗専門店に弟子入りを志願したこともあるが、高齢の店主に「万年筆の時代は来ない」と断られた。それでも諦めずに通い続けるうちに、店主の手さばきを学ぶ機会を得た。山田さんは、「『帰れ』という言葉の裏には、厳しい世界を背負わせたくないという思いがあったと感じています」と振り返り、今もその店主を「師匠」と呼んでいる。

全国でも数人しかいない修理職人

万年筆の修理職人の人数に関する国の統計はないが、広島県呉市で修理職人として活動する長原幸夫さん(66)によると、「修理専門の職人は全国でも数人しかいないのでは」という。長原さんは工房で全国から送られてくる万年筆を直しつつ、月2回ほど出張修理を行っており、依頼は後を絶たない。山田さんに対しては、「1本でも多くの万年筆に触れ、技術を向上させてほしい」とエールを送る。

また、全国約400人の愛好家グループ「万年筆くらぶ」会長の中谷宗平さん(69)は、「若者が万年筆の良さを認めれば、裾野は広がる。山田さんには勇気を持って前に進んでほしい」と期待を寄せている。

夢はオリジナル万年筆の開発

山田さんは島根大学で材料エネルギー学部に在籍し、万年筆の新素材を研究している。将来の夢は専門店を開業し、オリジナルの万年筆を開発することだ。「手書きには書き手の思いがこもり、万年筆の文字は他のペンよりも個性がにじみ出ます。万年筆を通じて、手書き文化の素晴らしさを伝えていきたい」と意気込んでいる。

万年筆は19世紀後半に米国のルイス・ウォーターマンが実用化したとされ、国内ではセーラー万年筆、パイロットコーポレーション、プラチナ万年筆が大手メーカーとして知られる。しかし、2002年から国の統計から外れており、国内出荷数などは不明だ。

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