平和への祈りを刻む24年、大田区で「スタンピング平和展」が終幕 美術家・松本れい子さんの活動に幕
平和への祈り24年、大田区で「スタンピング平和展」終幕 (29.03.2026)

平和への祈りを小さな版画に込めて、24年の活動に幕

大田区で長年続けられてきた平和を願うミニ版画展「スタンピング平和展」が、2026年4月を以て終了することが明らかになった。美術家の松本れい子さんが中心となり、2001年12月から続けてきたこの取り組みは、約24年余りにわたって国内外で平和のメッセージを発信してきた。しかし、運営メンバーの高齢化や無料出展機会の減少を受け、今春の展示を最後に幕を閉じる決断が下された。

5センチ四方の版画が紡ぐ平和への思い

「スタンピング平和展」は、5センチ四方の小さなゴム版に、参加者が各自の平和へのイメージを彫り込む無料ワークショップと展示会から成り立っている。一輪の花、ほおを寄せ合う母子、輝く太陽など、多様な図柄が並び、それぞれが平和への願いを静かに語りかける。松本さんは「子どもたちには、自分たちが大切にしているものを表現してみようと伝えます。大切なものとともに日常を送れるのは、平和があってこそだから」と語り、活動の根底にある哲学を強調する。

米同時多発テロをきっかけに始まった創造の活動

この平和展の始まりは、2001年9月に発生した米国同時多発テロに端を発する。憎しみの連鎖が招いた惨状に衝撃を受けた松本さんは、「破壊ではなく創造を」との思いから、当時住んでいた名古屋市で仲間の芸術家とともに活動をスタートさせた。当初は名古屋を中心に展開し、2008年に東京に転居してからは首都圏と名古屋の2拠点で、地域のイベントやフリーマケットなどに出展を重ねてきた。

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参加者は図柄を決めて彫り上げるのに約30分を要し、その過程は静かに作品と向き合う時間となる。松本さんは「平和を祈る時間と通じるものがある」と感じており、ワークショップを通じて参加者同士の交流が生まれ、平和を願う輪が広がることも少なくなかった。

国際的な広がりと共通する平和への願い

活動はクラウドファンディングで資金を調達し、2018年には同時多発テロが起きたニューヨーク、2024年には台北でも開催されるなど、国際的に拡大。地元住民だけでなく、観光客も多く体験し、日本の参加者と同様の感想を残していったという。松本さんは「『平和を願う気持ちを心に刻むことができた』とか、『平和への気持ちを共有できた』とか。どの国の言葉で表現しても、そういう思いは共通しているんだと思う」と述べ、平和への願いが国境を越えて共有されることを実感した。

24年余りの活動を振り返り、集大成の展示へ

スタートから24年余りが経過し、運営を担ってきた仲間たちの年齢も上がり、無料で出展できる機会が年々減少したことから、終了が決まった。集大成として、4月11日と12日に大田区蒲田の大田区民ホール・アプリコ展示室で開催される平和展では、これまでの参加者が制作した約6500点の作品を一堂に展示する計画だ。今回は会場代の都合で、ワークショップ参加者には任意で500円の参加協力費を呼びかける。

現在もロシアによるウクライナ侵攻や中東での紛争など、世界各地で戦争が続く中、松本さんは平和展の終了に際し、「引き継いでくれる人がいれば、喜んで材料やノウハウを提供するつもりだ」と語る。平和を願う草の根の取り組みが、若い世代の手によって今後も継承されることを切に願っている。

問い合わせは松本れい子さん(電話03-6425-9768)まで。展示は4月11日が正午から午後5時、12日が午前11時から午後4時まで開催される。

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