横浜で能登半島地震の復興を願うアート展が開催中
神奈川県横浜市西区のそごう美術館(そごう横浜店6階)で、企画展「能登とartists 能登とともにある、アーティストの思考と行動」が開催されています。この展示は、2024年元日に発生した能登半島地震の被災地に思いを寄せ、復興への願いを込めた作品を集めたものです。石川県を拠点に活動する美術家ら11組が参加し、それぞれの手法で表現した作品を通じて、来場者と感動を共有する場となっています。
地震速報を刺しゅうした作品が展示の中心に
会場に入るとすぐに目に入るのが、髙橋稜さんによる作品「あの日みたもの」です。この作品は、フェルトに「津波! 避難!」の文字が刺しゅうされており、地震発生を伝えるテレビの緊急速報画面を再現しています。髙橋さんは横須賀市出身で、金沢美術工芸大学の大学院で学んでおり、地震当時は同大学3年生として横須賀に帰省中でした。
髙橋さんは「速報を見て絶句した」と当時を振り返り、「記憶をつなぎ留めておくことが自分にできること。犠牲になった人を悼むことにもなる」と考え、インターネットで当日の速報画面を探し、制作に取り組みました。この作品は、ショッキングな瞬間を忘れずに伝えることで、被災地への思いを強く表現しています。
被災した作品も展示され、復興の過程を伝える
展示では、地震で被災した作品も並んでいます。金沢美術工芸大学の学生と教員有志のチームが2017年に制作した巨大壁画「奥能登曼荼羅」は、珠洲市を沖から眺めた地図に自然や伝統文化などを描いた大作で、現在修復過程にあります。また、陶芸作品「わたしのひふはおもたい」は、地震で倒れて三つに割れた状態で展示されており、作者の山本優美さんは修復も考えたものの、「これも地震という出来事を示している」と語ります。
山本さんは「見えなかった部分があらわになって、人がつくったものは壊れ、また時間が巡るということを感じた」と述べ、作品を通じて自然災害の影響と復興の希望を伝えています。
多様なアーティストが能登への思いを表現
展示には、石川県出身で東京都に住む現代美術家の前本彰子さんによる「神棚」をテーマにした作品や、写真家の石川幸史さんが隆起した海を撮影した作品、公費解体された被災家屋の廃材を使った2人組「仮(かりかっこ)」の作品なども含まれています。さらに、「金沢21世紀歌劇団」による古代の能登半島を舞台とするミュージカル映像も上映され、多角的な視点から能登の復興を考えさせる内容となっています。
本展の企画・構成を担当したキュレーターの高橋律子さんは「能登に寄り添い、能登のこれからを考え、つくっていく展覧会にしたいと考えた」と語り、展示の意図を説明しました。
展示の詳細と今後の展望
この企画展は4月2日まで開催されており、午前10時から午後8時まで開館しています。入場料は一般1400円、大学・高校生1200円、中学生以下は無料です。問い合わせはそごう美術館(電話045-465-5515)まで。
展示を通じて、能登半島地震の被災地への支援と復興への願いが多くの人々に伝わり、継続的な関心が寄せられることが期待されます。アートが持つ力で、被災地の現状と未来を考えるきっかけとなるでしょう。



