侍ジャパンWBC2連覇へ向けた黄金タッグの絆
第6回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で6日に初戦を迎える日本代表。ともに中日ドラゴンズの主力として活躍した井端弘和監督(50)と吉見一起投手コーチ(41)には、固い絆がある。吉見コーチは「この立場にいるのは井端さんのおかげ」と感謝し、日本の2連覇を懸けた舞台に臨む。
予期せぬ連絡から始まった代表での再会
2023年秋、吉見投手コーチのもとに届いたのは、井端監督からの予期せぬ連絡だった。「手伝ってくれないか」というコーチ就任の要請。プロ野球で指導経験がない不安もあり、すぐに返事はできなかったが、胸は高鳴るばかりだった。「9割9分がうれしい気持ちだった」と吉見コーチは振り返る。
中日黄金期で培われた信頼関係
吉見コーチは2008年から2012年にかけて5年連続で2桁勝利を挙げた中日黄金期のエースだった。主に遊撃を守る井端監督は当時から心強い存在で、吉見コーチの登板時には「捕手以外で一番マウンドに来てくれたのが井端さん」という関係だった。堅実な守備はもちろん、投球のささいな変化にも気付く観察力や声かけに何度も救われた経験がある。
現役引退後も続く師弟の絆
現役引退後も二人の関係は続いた。吉見コーチが出身のトヨタ自動車で指導に携わったのは、「アマチュアの野球を勉強をしておけよ」という井端監督の助言が大きなきっかけだった。2022年に井端監督が12歳以下の日本代表を率いた際には投手コーチを任され、代表のトップチームにまで呼んでもらえたことに驚きながらも、家族の後押しもあり決意を固めた。
意見の衝突も勝つためのプロセス
就任以来、吉見コーチが心掛けるのは「思ったことはちゃんと言う」ことだ。年齢が九つ上の相手に対して、当初は難しさもあった。試合中に意見が食い違い、ぶつかる経験もしたが、それも勝つためには必要なことと割り切った。少しでも意思疎通を円滑にしようと、井端監督の一言一句に耳を集中させる姿勢を貫いている。
プレミア12の苦い教訓を胸に
準優勝に終わった2024年の国際大会「プレミア12」の苦い教訓も胸に刻んでいる。台湾との決勝戦では、四回まで無失点だった先発を続投させ、五回に4点を奪われたのが痛恨だった。「振り返れば、代えた方がいいかなという迷いも一瞬あった」と吉見コーチは語る。打たれるのは結果論だとしても、より密な会話の必要性を強く感じた経験となった。
逆境の中での結束と準備
今回のWBCに向けては救援投手3人が立て続けに負傷で出場を辞退し、二刀流の大谷翔平選手は打者に専念するという逆境もある。それでも二人はいくつもの起用パターンを練り、相手の分析も含めて準備を重ねてきた。「正直ドキドキもするけど、楽しみながら、選手を信じて送り出すだけ」と吉見コーチは語る。何度も力になってくれた先輩を全力で支え、今度こそ、ともに歓喜を味わう決意だ。



