辺野古事故が問いかける私学教育の本質
沖縄県名護市辺野古での研修旅行中に発生した死傷事故を受け、文部科学省は同志社国際高校(京都府)の安全管理を「著しく不適切」と指摘するとともに、教育活動が教育基本法に定める政治的中立性に違反するとの判断を示した。この問題は、自主性を重んじる私立学校の在り方に一石を投じている。日本私立中学高校連合会の吉田晋会長(富士見丘中学高校校長)は、今回の文科省の見解について、私学の自主性と教育基本法のバランスをどう考えるべきか、その見解を語った。
私学の自主性と教育基本法の狭間で
吉田会長は、私立学校の建学の精神に基づく自主性は絶対に守られるべきだと強調する。私立学校法第5条では、私立学校は監督庁の是正命令からも保護されており、国や都道府県が容易に介入できない仕組みがある。日本私立中学高校連合会には全国約1400校が加盟し、宗教法人を母体とする学校など、それぞれ異なる理念を持つ。しかし、吉田会長は教育基本法が私立学校を除外しているわけではないと指摘する。
「どんな教育理念であれ、学校や教員の考えを押しつけるだけでは教育とは言えません。多様な視点で物事を捉え、多様な意見に触れ、議論を通じて考えを深め、生徒自身が判断し意見形成する力を育むことが教育です。そうした教育活動を目指せば、自然と立場の異なる意見を取り扱わざるを得ないはずです」と述べ、教育の本質を改めて強調した。
現場の萎縮を懸念する声に対して
文科省の判断によって現場が萎縮するのではないかとの懸念に対し、吉田会長は「今回は特異な例です。私学の先生方には、萎縮して平和教育や主権者教育を制限する必要は全くないと強調したい」と語る。文科省は広島や長崎の被爆地、沖縄や辺野古を訪れること自体を否定しておらず、むしろ18歳成人を見据え、中学・高校での主権者教育や平和教育を重視していると指摘する。
「国内外で政治が混迷する中、私たちは卒業までに生徒が自らしっかりとした判断力を身につけ、責任ある意見を持てるように育てなければなりません」と述べ、教育現場の責任を強調した。
国際情勢の緊迫化もあり、教育の政治的中立性をめぐる議論は今後も続くと見られる。私立学校が自主性を維持しつつ、いかにして教育基本法の精神を具現化するかが問われている。



