智弁学園、選抜準優勝 エース杉本投手が10奪三振の力投も優勝ならず
第98回選抜高校野球大会の決勝戦が3月31日に行われ、智弁学園は大阪桐蔭(大阪)に3対7で敗れ、2016年春以来となる優勝を逃し、準優勝に終わりました。試合は六回に逢坂悠誠選手の本塁打で同点に追い付くも、七回に4点を奪われて逆転を許し、終盤の反撃も及ばない結果となりました。
エース杉本投手の奮闘と主将角谷選手のリーダーシップ
智弁学園のエース、杉本真滉投手は七回までに7点を失いながらも、10三振を奪う力投を見せ、チームを決勝まで導いた貢献が大きな拍手で称えられました。捕手を務める角谷哲人主将は、1年秋から杉本投手とバッテリーを組んできたパートナーとして、試合中も「俺が構えたところに投げればいい」と声をかけ、落ち着かせる役割を果たしました。角谷主将は「真滉を信頼しているし、真滉も自分を信じてくれている」と信頼関係の強さを語りました。
球数制限「1週間で500球」の下、杉本投手は131球までしか投げられない中、角谷主将は持ち味を生かす配球を心がけました。序盤は速球とスライダーを多投させ、後半は球数制限を意識して早いカウントで打たせて取る戦略を採りました。三回まではボールが高めに浮き、6安打を浴びて3点を失いましたが、四回から六回は本来の投球を取り戻し無失点に抑えました。しかし、同点とした直後の七回に4点を奪われ、この回限りで降板しました。角谷主将は「真滉を頼りすぎて、疲れさせてしまっていた」と責任を感じる発言をしました。
打撃でもチームを引っ張る角谷主将の活躍
一方で、角谷主将は打撃面でも好打者ぶりを発揮しました。五回の安打に続き、七回二死一塁では右前打で好機を広げ、今大会の全5試合で計8安打、3打点を挙げる活躍を見せ、1番打者としてチームを引っ張りました。小坂将商監督は「チームをまとめ、主将として言うべきことは言ってくれた。成長した」と角谷主将を称えました。角谷主将自身は「やれることはやったが……。力が足りなかった」と悔しさをにじませ、速球投手の攻略など今大会で見えた課題を克服し、夏の大会での復帰を誓いました。
後輩からの尊敬と部長井元さんの長年の支え
智弁学園のアルプス席では、野球部員の2年生・大谷悠晟選手が角谷主将のプレーに熱い視線を送りました。同じ捕手として練習を共にする大谷選手にとって、角谷主将は「お手本にしたい選手」であり、守備練習での厳しい指摘や、消灯時間前までバットを振り続ける姿勢に感銘を受けています。甲子園でのチームを引っ張る姿に、大谷選手は「全力で楽しんで、必ず勝ってほしい」とエールを送りました。
また、智弁学園の部長として20年近くチームを支えてきた井元康勝さん(75)が、再任用期限の年齢となり今春で退任します。井元さんは「選手たちは持っている全ての力を出した」とチームの奮闘を称え、試合後には涙を流す杉本投手の肩に手をやり、グラウンドを後にしました。井元さんは野球経験はありませんが、監督に怒られた部員に真意を伝え、礼儀や掃除、授業態度など学校生活でも熱心に指導してきました。昨秋に腰を手術し、県大会や近畿大会にはベンチに入れなかったものの、チームは「春の甲子園で優勝し、部長の有終の美を飾る」と団結し、今大会に臨みました。
井元さんは部長として最後の甲子園で「負けてしまったけれど、今日は一生の思い出や」と語り、角谷主将らに「夏は優勝しろよ」と声を掛けました。智弁学園は10年ぶりの選抜優勝には届きませんでしたが、エース杉本投手の力投や角谷主将のリーダーシップ、そして井元部長の長年の支えが光る準優勝となり、夏の大会に向けた新たな決意が感じられる結果となりました。



