選抜高校野球、中京大中京が準決勝で涙 29年ぶりの決勝進出ならず
アルプスの大声援を背に、決勝進出を目指した中京大中京(名古屋市)の挑戦が、あと一歩でついに届かなかった。甲子園球場で開催されている第98回選抜高校野球大会で、同校は29日、準決勝で智弁学園(奈良)と対戦し、1-2で競り負けた。これにより、29年ぶりの決勝進出の夢は儚く消え去り、チームは夏の甲子園でのリベンジを誓うこととなった。
試合経過:先制も逆転許す、最終回の好機生かせず
中京大中京は三回、田中大晴選手(3年)の右前打と相手の失策を絡めて三塁まで進み、神達大武選手(2年)の犠牲フライで先制点を挙げた。しかし、六回に適時打で同点に追い付かれると、八回には1死二塁の場面で適時二塁打を浴び、勝ち越しを許してしまった。打線は最終回、代打の杉原舞樹選手(3年)の左前打などで1死一、二塁と同点の好機を作り出したが、あと一本のヒットが出ず、試合はそのまま終了した。
安藤歩叶投手の成長:神宮大会の悔しさを糧に
先発マウンドに上がった安藤歩叶投手(3年)は、今大会屈指の強力打線にも動じず、5回を無失点に抑える好投を見せた。彼は昨秋の明治神宮大会での悔しさを原動力に、冬場の鍛錬を積んできた。神宮大会では先発しながら3本塁打を浴びて5失点で降板し、コールド負けを喫した経験から、食事量の増加や筋力トレーニングの強化に取り組み、体重を7キロ増やして76キロに。制球力やフォームが安定し、今大会では自己最速の144キロを記録するなど、確かな成長を遂げた。
安藤投手は試合後、「直球で自信を持って押していこうという冬の取り組みが実った。ピンチでも集中して投げられた」と語り、一方で「完投できるスタミナや、常時140キロを超える直球を目指したい」と夏への課題を明確にした。彼の名前には「夢に向かう途中で歩いてもいいからかなえてほしい」という願いが込められており、最後の夏こそ「日本一」の夢を叶える決意を示している。
チームの軌跡:敗北からはい上がり、全国4強へ
昨年夏に始動した新チームは、主力として出場していた荻田翔惺選手(3年)以外は経験が浅く、外部からは「力がない」と評されることもあった。秋季大会では連敗を経験し、危機感から練習姿勢を改めた結果、県大会や東海大会を制覇。しかし、神宮大会での敗戦で全国レベルとの差を痛感し、「体づくり」をテーマに食事やトレーニングを強化、選手は平均で5キロ増量した。
甲子園では3勝を挙げ、春夏通算140勝という歴代最多記録を更新。打線は本塁打2本を放ち、投手陣も安定したが、準決勝では守備のほころびや打線の厚み不足が露呈した。高橋源一郎監督は「僅差でも守り切れる守備力や、打線の厚みが求められる」と指摘し、夏に向けて再び敗北からはい上がることを誓った。
敗戦後、目を真っ赤に腫らした選手もおり、チームは悔しさを胸に、次なる舞台へと歩みを進める。中京大中京の夏のリベンジが、今から期待されている。



