「消去法」の▲6八金が絶妙手、久保利明九段が池永天志六段を翻弄し本戦出場を決める
「消去法」の▲6八金が絶妙手、久保九段が本戦出場

第39期竜王戦2組準決勝が5月8日、関西将棋会館「錦旗」で行われ、久保利明九段が池永天志六段を破り、本戦出場と1組昇級を決めた。勝負を決めたのは、終盤の「消去法」で選んだという▲6八金。この一手が絶妙手となり、久保九段が緩急自在の指し回しで池永六段を翻弄した。

本戦と昇級をかけた一局

本局は2組準決勝。勝てば決勝進出とともに本戦出場と1組昇級が決まる大一番。池永天志六段にとっては、1組昇級による七段昇段もかかっていた。午前9時40分、両者が席に着き一礼を交わした後、久保九段が駒箱を開けた。記録係の生垣諒人三段が振り駒を行い、歩が5枚出て久保九段の先手番に決定。久保九段は上着を脱ぎ、シャツをまくり上げて気合をみなぎらせ、定刻の午前10時に対局が始まった。

戦形は三間飛車対急戦

戦形は久保九段が三間飛車に構え、対する池永六段は△7四歩から△6四歩として急戦を明示。解説の西田拓也六段は「池永六段は振り飛車に対して持久戦が多いので、本局のための準備があったのではないか」と推測した。久保九段は▲8八飛と寄り、▲5七銀と上がる珍しい組み合わせを見せた。西田六段は「▲8八飛は佐々木勇気八段流の仕掛けを警戒したもの。▲5七銀は久保九段好みの銀上がり」と解説。池永六段は△7五歩から△7二飛と動き、激しい攻防が繰り広げられた。

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終盤の妙手

中盤以降、久保九段は持ち時間を巧みに使い、池永六段の攻めを受け流しながら自らの攻めを構築。終盤、形勢が接近する中で久保九段が放った▲6八金が絶妙手となった。久保九段は「消去法で選んだ」と振り返るが、この一手で池永六段の攻めの糸口を断ち、そのまま押し切った。久保九段は「目標だった本戦切符をつかめて嬉しい」とコメント。一方、池永六段は「準備してきたが、久保九段の経験値に圧倒された」と悔しさをにじませた。

久保九段の将棋観

解説の西田六段は「振り飛車党の私にとって久保九段は常に手本。最近の久保九段の将棋は序盤を互角以上で乗り切り、中終盤に隙がない」と評価。記者室を訪れた脇謙二九段も「▲8八飛の早い寄りは最近の流行。後手の4二金型も昔とは違う」と興味深そうにモニターを見つめた。久保九段はこの勝利で1組昇級を決め、本戦でもその実力を発揮することが期待される。

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