航空大生がニセコでアルバイト、待機期間を活用して英語力と経験を磨く
航空大学校(航大、宮崎市)の学生2人が、学校側の事情による長期間の待機を利用し、北海道倶知安町のニセコひらふ地区にあるスキーリゾートでアルバイトに励んでいる。彼らはこの機会を活用し、海外旅行やワーキングホリデーを計画しており、「若いうちにしかできない経験を積みたい」と前向きに取り組んでいる。
定員増による待機の背景と学生の選択
航大は、パイロットを養成する国内唯一の公的機関として知られ、座学やフライト訓練を経て2年間で事業用操縦士などの資格を取得できる。しかし、2018年度から定員を増加した結果、訓練が滞り、多くの学生が待機を余儀なくされている。この状況下で、群馬県出身の大杉航介さん(25)と帯広市出身の石丸創士さん(24)は、2024年5月から座学を開始し、2025年9月から1年間の待機期間に入った。
2人は、ニセコひらふ地区の交通・サービス拠点「ひらふウェルカムセンター」の窓口で案内役として働いている。このアルバイトを選んだ理由について、大杉さんと石丸さんは「時給が高いし、英語の勉強になる」と口をそろえる。特に、国際線パイロットを目指す彼らにとって、外国人観光客とのコミュニケーションは貴重な学習機会となっている。
大杉さんの夢とワーキングホリデー計画
大杉さんは、飛行機旅行が好きだった母親の影響でパイロットを志し、東京都立大学を卒業後、社会人経験を経て航大に入学した。待機期間中は他のリゾートでもアルバイトをしてきたが、ニセコでは「日本にいながら常に外国人と話せる環境が感動的」と語る。窓口業務では、困りごとへの対応が楽しく、「これでお金をもらってもいいの、と思うくらい」充実した日々を送っている。
3月からはオーストラリアにワーキングホリデーに出かけ、コミュニケーションの多い仕事を希望している。「レストランでも農場でも何でもやるつもり」と意欲的だ。将来の夢は国際線パイロットで、「オーロラをコックピットから見るのが夢」と語り、目標に向かって歩みを進めている。
石丸さんの旅の計画とパイロットへの思い
石丸さんは4歳で初めてコックピットを見せてもらい、将来を決めた。「スイッチや計器が並んでいるのを見て男心がくすぐられたのかな」と回想する。大阪大学在学中に航大に合格し、地元帯広での訓練も優秀な成績で修了した。
ウェルカムセンターでは大杉さんと並んで働き、メキシコからのスキー客にスペイン語で話しかけたことをきっかけに仲良くなった。3月から予定する中南米旅行では、その友人宅に泊めてもらう約束をしている。コロンビアやアルゼンチンなど6か国を回り、南米パタゴニアでのトレッキングを楽しみにしている。その後はアフリカに渡り、ケニアから南アフリカ共和国の喜望峰まで陸路で踏破する計画だ。
「この旅の経験がパイロットになってから役に立つことがあるかも」と期待を寄せる一方で、「早く学校に戻りたい。祖父母が元気なうちに自分のフライトに乗せてあげたい」と家族への思いも語った。
地域からの応援と将来への期待
2人を応援している倶知安町の旅行会社経営者、堀井俊宏さん(67)と智子さん(65)夫妻は、「2人とも真面目に働いて、いろんなことを吸収している。豊かな心を持った思いやりのあるパイロットになれると思う」とエールを送る。地域社会からの支援も受けながら、彼らは待機期間を有意義に過ごし、将来のキャリアに備えている。



