三重ホンダヒート、宇都宮移転へ 65年の歴史に幕 入場者増を目指し新天地で挑戦
三重ホンダヒート宇都宮移転 65年の歴史に幕 新天地で挑戦

三重ホンダヒート、65年の歴史に幕 宇都宮移転で新たな挑戦へ

疾走し、激しいタックルをかわす選手たち。ラグビー・リーグワン2025-26シーズンが昨年12月に開幕し、三重ホンダヒートは鈴鹿市を拠点とする最後のシーズンを戦っている。2026-27シーズンからは活動拠点を宇都宮市に移転し、新たな歴史を刻むことになる。

入場者数の伸び悩みが移転の背景に

白熱の接戦とは対照的に、客席が寂しい光景が続いてきた。スタンドには空席が目立ち、ファンの「ヒート・ホンダ」のかけ声はまばらだ。2024-25シーズンの鈴鹿でのホームゲーム平均入場者数は約3300人。これはディビジョン1の平均である約7900人の半分にも満たない数字だった。

運営に事業性が求められる中、入場者数の伸び悩みは大きな課題となっていた。ホンダは2024年9月、2026-27シーズンに合わせて活動拠点を宇都宮市に移転すると発表した。

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宇都宮の優位性と新拠点整備

人口の多い関東圏に位置する宇都宮市には、同社の研究拠点も近くにある。昨季までゼネラルマネジャーを務めた前田芳人氏(52)は「既にJリーグやBリーグなどのプロチームがあり、お金を払ってスポーツを見る文化が定着している」と同市の優位性を説明する。

昨秋からは新練習拠点の建設が始まり、宇都宮市内にクラブハウスやグラウンドなどを整備。今年8月末の完成を目指している。本拠地となるスタジアムの命名権も栃木県から獲得し、「ホンダヒート・グリーンスタジアム」への移転準備が着々と進む。

今シーズンは、ホームゲームの半数にあたる4試合を宇都宮市で開催する計画だ。

選手の思いと地域貢献活動

選手の古田凌(30)は「良い環境でラグビーできるのは感謝している」と移転を前向きに受け止める。2018年に入社し、リーグワン開幕の2021-22シーズンから3季キャプテンを務め、2023年にはディビジョン1昇格を成し遂げた中心選手だ。

ホンダによると、来季以降の三重県内に残すチームの体制は未定となっている。チームの躍進と共にあった三重について古田は「温かい町」と語る。

チームは地域への貢献活動にも積極的に取り組み、選手らはいじめや特殊詐欺被害の防止を呼びかける街頭啓発などに参加してきた。

「ヒート授業」で地域と絆を深める

中でも「ヒート授業」と題した活動は、現役選手らが鈴鹿市内の小学校などを訪問し、ファンを増やす貴重な機会となった。ラグビーのミニゲームなどを通じて、子どもたちにコミュニケーションや仲間の大切さを伝える取り組みだ。

授業内では選手らが勝ち負けを本気で楽しむように促し、子どもの熱意を引き出す工夫を重ねてきた。昨季は地元で約20回開催し、1300人以上が授業を受けた。

参加経験のある古田は「ヒートの選手に教えてもらったことを子どもたちが覚えていてくれればうれしい。自分も子どもたちからパワーをもらい、成長させてもらった」と振り返る。

来季以降もヒート授業は引き続き開催する方針で、ホストゲームも一部開催される予定だ。

三重への感謝を勝利に込めて

古田は今シーズン、上位6チームが戦う「プレーオフトーナメント」への進出と、そこでの1勝を目標に掲げている。60年来の拠点であった三重への恩返しと位置づけ、「感謝の気持ちを込めて勝利を届けたい」と決意を新たにしている。

三重ホンダヒートの宇都宮移転は、単なる拠点変更ではなく、クラブの新たな成長と地域スポーツ文化の拡大を目指す挑戦となる。65年間の歴史に幕を下ろす鈴鹿での最後のシーズン、選手たちは感謝の気持ちを胸に、一つ一つの試合に全力で臨んでいる。

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