茨城・霞ケ浦聾学校でデフリンピック選手が交流 星野萌選手「8年前の訪問が道を開けた」
デフリンピック選手が聾学校訪問 星野選手「8年前が道開けた」 (26.02.2026)

東京デフリンピックメダリストが茨城の聾学校を訪問 星野萌選手「8年前の出会いが夢の始まり」

昨年11月に開催された聴覚障害者の国際スポーツ大会「東京デフリンピック」に出場した選手8人が、茨城県阿見町の霞ケ浦聾学校を訪問した。この訪問は、卒業生でありテコンドー女子プムセ(型)で銅メダルを獲得した星野萌選手(22)をはじめ、競泳の茨隆太郎選手(32)、陸上の山田真樹選手(28)らが参加し、子どもたちとの交流を深める貴重な機会となった。

8年前の訪問が夢のきっかけに 星野選手の感動的な言葉

星野選手は、中学2年生の時に同じ学校を訪れた茨選手や山田選手に憧れを抱き、自身もメダリストとなる道を歩んだ。彼女は「中学の時に学校に来た選手たちはキラキラしていた。話を聞き、大事なのは自分の意志なんだと思った」と大会前に語っていた。今回の訪問では、「8年前の訪問で自分の道が開けた。8年後に子どもたちの中から選手が出てくれたらうれしい」と、未来への希望を込めて述べた。

茨選手も「自分たちの姿を見せて、子どもたちの夢と希望、刺激となり、視野が広がるきっかけになれば」との願いを語り、選手たちの笑顔と輝くメダルが学校を包んだ。

多彩な選手たちが集結 子どもたちとの活発な質疑応答

訪問した選手は、星野、茨、山田の3選手に加え、陸上の荒谷太智選手(21)と生井沢彩瑛選手(19)、サッカーの江島由高選手(40)と瀧澤諒斗選手(22)、卓球の亀沢理穂選手(35)の計8人。金メダル3個、銀メダル3個、銅メダル1個を獲得した茨選手を筆頭に、エース級のメダリストたちが、生井沢選手の母校である幼稚部から中学部まで計34人が通う聾学校に集まった。

子どもたちからは「どうしたら背が伸びますか」「デフリンピックに出るにはどうすれば?」など、率直な質問が飛び出した。選手たちは手話で「いっぱい遊び、いっぱい寝ると大きくなれる」「大会にたくさん出て、積み重ねが大事」などと丁寧に答え、獲得したメダルを見せながら、夢を追いかける大切さを伝えた。

体育館での交流イベント 選手宣誓の再現やスポーツ体験

体育館では、実際の開会式と同じく、星野選手と山田選手が手話での選手宣誓を再現。ボールを使ったリレーや卓球、鬼ごっこなどで体を動かし、子どもたちと楽しい時間を過ごした。中学部2年で卓球クラブに所属する小口樹さん(14)は「テレビで見るより体が大きかった。亀沢選手のスマッシュは想像より速かった」と驚きを隠せなかった。

橋本准教授の思いが実現 ろう学校ならではの意義

この訪問を企画したのは、同校への指導助言を続ける東京都立中央ろう学校元教諭で手話通訳士の橋本一郎・亜細亜大特任准教授(54)。橋本准教授は「少し先の未来を、ろうの子どもたちや保護者に見せたい。デフ選手に会える機会は、ろう者のコミュニティーの中核となるろう学校だからできる」との思いから、教え子や親交のある選手、8年前にも訪ねた選手らに声をかけた。

選手たちは保護者向けの講演でも、自身の生い立ちや競技経験を踏まえて語り、「陸上クラブでろう者に理解あるコーチと出会い、納得する練習ができるようになった」「悩んだ時、デフ選手と手話で語り合い、心の支えになった。手話の大切さが分かった」「大会で多くの人に応援されたのが最高の思い出」など、感動的なエピソードを明かした。

この交流は、聴覚障害を持つ子どもたちに夢と希望を与えるとともに、スポーツを通じた社会参加の重要性を再確認させるものとなった。選手たちの輝く姿が、次世代のアスリートを育むきっかけとなることが期待される。