バレーボールVリーグ女子のブレス浜松に所属する柾木茜選手(25)が、現役引退を決断した。若くしてのがん闘病を経験し、寛解後にコート復帰を果たした彼女は、「今度は私が人を助けたい」と語り、次なる道として陸上自衛隊への入隊を選んだ。
突然の病魔との闘い
2023年12月、当時大学4年生だった柾木選手は激しい腰痛に襲われた。当初は配送のアルバイトの影響と考えていたが、痛みは改善せず、精密検査の結果、血液のがんである悪性リンパ腫と診断された。しかも最も進行したステージ4だった。治療費やチームへの負担を考え、医師の前では平静を装ったが、病院のトイレで一人涙を流したという。
闘病と復帰への道のり
出身地の千葉県に戻り、2週間に1度の抗がん剤治療を受けた。副作用で抜け落ちた髪の毛が枕に散らばる姿に衝撃を受け、吐き気との闘いも続いた。しかし「もう一度バレーをしたい」という強い思いが支えとなった。両親やチームメイト、友人の励ましも力となり、治療開始から半年後の2024年9月に寛解を迎えた。
2025年1月19日、ホームのサーラグリーンアリーナで公式戦デビューを果たし、「ボールに触れるだけで楽しく、全てがキラキラしていた」と振り返る。ファンからの温かい歓声に、待っていてくれた人の多さを実感した。
引退決断と自衛隊への道
今季は28試合31セットに出場し、守備特化のリベロとして156センチの小柄な体で活躍した。しかし同時に、「バレーは楽しいが、自分のためではなく誰かのために生きたい」という新たな感情が芽生え、自衛隊入隊を決意。5月末までチームに所属し、今秋の入隊に向けて試験対策や講演活動に励む。再発のリスクがあるため、3カ月に1回の検査は欠かさない。
「がんになって悲しかったし悔しかったが、病気になったからこそこの道を選べた」と語る柾木選手。苦しみの先に見えた信念を胸に、新たな一歩を踏み出す。



