避難訓練のマンネリ化打破へ 深夜や抜き打ちで実践的な防災力を養う
避難訓練のマンネリ打破 深夜や抜き打ちで実践力向上

避難訓練のマンネリ化を打破する新たな取り組み

マンネリ化しがちな訓練内容を見直し、より実践的な「難しい」避難訓練を検討する動きが、青森県内で活発化している。従来の訓練では想定しにくい条件の悪い深夜に実施する自治体が現れたほか、休み時間中の「抜き打ち」訓練など、効果的な手法を研究する専門家も増えている。これにより、災害時に命を守る判断力を高めることが期待されている。

深夜の雨の中での訓練で見えた課題

「初めて参加したが、暗くてほぼ見えなかった。歩き慣れた道でもこんなに違うとは」。東通村小田野沢地区で先月行われた避難訓練で、参加した会社員(23)は、そう振り返る。この訓練は午前0時頃に開始され、震度7の地震の発生と大津波警報の発表を想定したものだった。当日は大粒の冷たい雨が降りしきる中、住民や村職員ら約100人が、ヘッドライトの明かりを頼りに車や徒歩で避難所の公民館に向かった。

村は2年前から同様の訓練を各地区で続けており、畑中稔朗村長は「条件が一番悪い冬場の深夜、寝静まった後に津波が来る想定で訓練を行った。今後もあらゆる可能性を想定して訓練を行いたい」と語る。これにより、実際の災害時に直面する困難な状況への備えが強化される。

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専門家が指摘する「ベストコンディション」の危険性

危機管理に詳しい青森中央学院大の大泉常長教授は、「ベストコンディションを与えることが、逆に命取りになる」と強調する。命を守る判断力を養うには、参加者に難しい選択を迫る訓練が不可欠だとして、事例研究を進めている。

例えば、学校での避難訓練は授業中に学級単位で行われるケースが多いが、実際の災害はいつ、どんな状況で起きるかわからない。大泉教授は協力校で休み時間の訓練を実施し、校内にちらばる子どもたちが校庭に逃げられるかを試した。また、訓練中にはケチャップで出血を模した「けが人」も用意し、避難と救助の両立をどう図るかも問いかけたという。

大泉教授は「自らを守る能力を高めるには、臨機応変さが求められる訓練に取り組むべきだ」と訴え、従来のマンネリ化した訓練からの脱却を促している。

日常的な「防災まち歩き」で地域の知恵を蓄積

一方で、実践的な訓練は十分広まっているとは言いがたく、身近にこうした取り組みがない場合もある。日頃の対策で代替しようと、県防災士会の峯雅夫代表理事は、日常的に地域を練り歩いて危険箇所や避難ルートを確かめる「防災まち歩き」を提唱する。

河川や土地の形状を理解していれば、津波や洪水がどう押し寄せてくるかを予見しやすいからだ。同会は自治体と連携し、参加者の多様な気づきを避難行動に役立てている。峯代表理事は、「住民ぐるみの活動とすることで、地域としての知恵になる」と力を込め、地域全体での防災力向上を目指している。

これらの取り組みを通じて、青森県では防災訓練の質的向上が図られ、災害時に迅速かつ適切な行動を取れる人材の育成が進められている。マンネリ化からの脱却が、命を守るための重要な一歩となるだろう。

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