山口県警と大島商船高専が災害時協定を締結 練習船「大島丸」で緊急輸送体制を構築
山口県警察と周防大島町の大島商船高等専門学校は、災害発生時に同校の練習船「大島丸」を緊急輸送に活用する協定を結びました。この協定により、道路が遮断された際に海上から県警の警備部隊や物資、資材を迅速に運ぶ体制が整備されます。
全国初の取り組み 能登半島地震の教訓を活かす
県警によると、警察と高等専門学校が練習船による緊急輸送について協定を結ぶのは全国で初めての事例です。2024年1月に発生した能登半島地震では、各地で道路が寸断され、多くの地域が孤立状態となり、救出や救助活動に大きな支障が生じました。
こうした深刻な状況を踏まえ、災害時に現地で情報収集や警備活動に当たる警察官を海上輸送できるよう、県警が大島商船高専に協力を依頼したことが今回の協定締結につながりました。
締結式で関係者が協定の意義を強調
4月10日に同校で開催された協定締結式では、県警の田中正和警備部長が2013年7月に萩市で発生した豪雨災害の事例を紹介しました。当時は海上保安庁の巡視艇を活用して県警部隊を派遣した経験があり、田中警備部長は「災害現場の最前線で活動する部隊をいち早く派遣し、情報収集や迅速な救助、救出活動をすることが必要不可欠です」と述べました。
さらに「様々な状況を想定し、事前に備えることが極めて重要だ」と協定の意義を強調しました。
大島商船高専の藤本隆士校長は「連携協定を結べることは大きな喜びです。この協定が災害支援の一端を担い、地域社会に貢献できることを確信しています」と語り、教育機関としての社会的責任を果たす決意を示しました。
4代目「大島丸」は災害支援を想定した設計
同校によると、現在の練習船「大島丸」は4代目にあたります。先代の船は1995年の阪神・淡路大震災で飲料水の輸送を担当し、2018年に大島大橋で発生した貨物船衝突事故による断水時にはシャワー設備を開放するなど、過去にも災害支援で活躍してきました。
2023年に完工した4代目「大島丸」は、災害支援活動を具体的に想定して設計されています。給水支援やシャワー設備の提供、スマートフォン充電などの電源供給など、多様な支援活動が可能な機能を備えています。
この協定により、山口県では海上を活用した新たな災害対応システムが構築され、地域の防災力向上が期待されています。警察と教育機関の連携が、災害時の迅速な対応と人命救助にどのように貢献するか、今後の実践が注目されます。



