山林火災で保水力失った山の下のわが家 手入れ不足の森、再生に課題山積
山林火災で保水力失った山の下のわが家 手入れ不足の森再生に課題

岩手県大槌町吉里吉里の山林火災は鎮圧されたが、焼け跡では新たな課題が浮上している。火災で保水力を失った山の斜面では、豪雨による土石流の危険性が高まっている。住民の芳賀正彦さん(78)は「半年前にマツの苗を植えたばかりだったのに」と、焼けた苗を前に肩を落とした。

震災後16回の避難指示

大槌町では東日本大震災以降、朝日新聞の記事で確認できるだけでも16回の避難指示が出ている。津波や台風、土砂災害に加え、今回の山林火災と、災害の危険は尽きない。海と山に囲まれたこの町で、住民はどう向き合っているのか。

火災の経緯と被害

4月22日夕方、地区内の鉄塔付近から出火した火は、強風にあおられて数時間で約2キロ東の芳賀さんの山林に達し、広範囲を焼き尽くした。眼下には老人ホームや約50軒の住宅街が広がる。これは東日本大震災で家を失った人々が集団移転した場所で、芳賀さんの自宅は最も山寄りに位置する。

Pickt横長バナー — Telegram用の共同買い物リストアプリ

消防隊の徹夜の消火活動で延焼はかろうじて食い止められたが、火種はくすぶり続け、あちこちで再発火するたびに住民がバケツリレーで消火にあたった。

手入れ不足の森林が火勢を助長

広範囲が焼失した山を見て、芳賀さんは「山津波(土石流)が心配だ」と語る。豪雨が降れば、積もった灰が雨水をはじき、木の根で固定されなくなった土壌が崩れて一気に流れ出す恐れがあるからだ。

芳賀さんと車で林道を走ると、「ご覧の通り、手入れをしていない所が多いでしょ」と指摘する。間伐が行われず、ひょろ長い針葉樹が密集して伸びる山林が続く。これが火の回りを早めた一因かもしれないと芳賀さんは推測する。

震災後に立ち上げた林業NPO

15年前の震災直後、芳賀さんは避難所で林業NPOを立ち上げた。被災した山林の再生と、適切な森林管理の重要性を訴えてきた。しかし、高齢化や人手不足で思うように手入れが進まない現状がある。

今回の火災で、森林の荒廃が災害リスクを高めることが改めて浮き彫りになった。再生には長い時間と労力が必要で、地域全体で取り組むべき課題は山積している。

今後の課題と展望

焼け跡の土砂災害対策として、自治体は緊急の砂防工事を検討している。しかし、森林そのものの再生には、植林や間伐などの地道な作業が欠かせない。芳賀さんは「この山を再び緑に戻すには、10年、20年かかるだろう」と話す。

大槌町では、震災復興と並行して、防災と森林保全を一体としたまちづくりが求められている。住民の安全を守るためには、行政と地域住民、そして専門家の連携が不可欠だ。

Pickt記事後バナー — 家族イラスト付きの共同買い物リストアプリ