創業半世紀の食堂に歌声の感謝 震災避難の店主夫妻に合唱団が感動の花束贈呈
東日本大震災と東京電力福島第1原発事故によって古里の浪江町から避難を余儀なくされ、31日をもって創業50年の長い歴史に幕を下ろすことになった二本松市の食堂「杉乃家」。その28日、地元の合唱団が訪れ、心温まる歌声を通じて深い感謝の気持ちを伝える感動的な一幕が繰り広げられた。
阪神大震災の曲を福島バージョンで歌い継ぐ合唱団
訪れたのは、「福島しあわせ運べるように合唱団(二本松市)」。この合唱団は、阪神大震災で被災した神戸市で生まれた名曲「しあわせ運べるように」を福島バージョンにアレンジし、歌い継いでいる団体として知られている。合唱団は2015年の設立当初、自分たちのCDを無料で配布していた際に、杉乃家に置いてもらったことがきっかけで交流が始まり、それ以来、温かな絆を育んできた。
店主夫妻に学んだ古里を愛する大切さ
萩原千尋団長(22歳、福島学院大学4年生)をはじめとするメンバーたちは、この日、計5曲を披露。萩原団長は、店主の芹川輝男さん(76歳)と春子さん(76歳)夫妻に向けて、「古里の味を守り続けるという皆様の姿から、私たちは古里を愛する大切さを学ばせていただきました」と感謝の言葉を述べた。さらに、花束と心のこもった寄せ書きを贈呈し、長年にわたる支援と交流への謝意を表した。
感激で声を詰まらせた店主の輝男さん
輝男さんは、合唱団の歌声と温かい贈り物に深く感動し、「感激で涙をこらえるのに精いっぱいでした。本当にありがとうございます」と声を詰まらせながら応えた。この瞬間、食堂には50年の歴史と震災からの復興への思いが込められた、かけがえのない交流が生まれていた。
杉乃家は、震災後も地域に根ざした営みを続け、多くの人々に古里の味と温もりを提供してきた。31日の閉店を前に、合唱団の訪問は、店主夫妻にとって忘れられない思い出となっただけでなく、地域コミュニティの絆の強さを改めて示す機会となった。



