長野県が「スカウト型」就活イベントを計画 Uターン就職率の低下と人手不足解消へ新たな取り組み
長野県外に進学した学生が県内企業に就職する「Uターン就職」が低調な状況が続いています。2025年3月卒業の学生のUターン就職率は31.0%に留まり、県が調査を開始した2009年以降で最も低い水準を記録しました。この深刻な状況を受け、長野県は本年度中に企業が学生を直接勧誘する「スカウト型」の就職活動イベントを計画し、県内企業と学生のマッチングを積極的に支援する方針を固めました。
Uターン就職率の低下傾向とその背景
県労働雇用課によると、Uターン就職率は2011年3月卒業生の44.1%をピークに下落傾向が続いています。新型コロナウイルス禍では、都市部への就職希望者が一時的に減少したため、わずかに持ち直す場面もありました。しかし、コロナ禍が落ち着きを見せ始めると、再び下降傾向に転じています。
就職情報大手のマイナビが2026年卒業予定の学生を対象に実施した調査では、県内での就職を希望しない理由として「希望する企業がない」が47.8%で最多となりました。次いで「希望する職種がない」が33.6%を占め、学生のニーズと県内企業の提供する職種・企業間にギャップが存在することが浮き彫りになっています。
深刻化する県内企業の人手不足問題
一方で、長野県内の企業では人手不足感が強まっています。帝国データバンク長野支店の調査によると、正社員の人手不足を感じている企業は2025年1月時点で49.0%に上りました。業界別では、2024年に始まった時間外労働の上限規制の影響が特に大きい「運輸・倉庫」業界で75.0%、「建設」業界で67.6%と、高い割合を示しています。
文部科学省の学校基本調査によれば、長野県内の高校を卒業して大学や短期大学に進学する人は毎年約9,000人にのぼります。そのうち7割以上が県外に進学しており、人口減少が進む中で、Uターン就職率の向上は企業の人手不足解消にとって極めて重要な課題となっています。
「スカウト型」就活イベントの具体的な仕組みとメリット
長野県が計画しているスカウト型の就職活動イベントは、学生が自己PRを行い、それを見た企業が直接学生を勧誘する仕組みを採用しています。これは、就職サイトを通じて学生が応募する従来の形式とは大きく異なる特徴を持っています。
学生にとってのメリットとしては、以下の点が挙げられます。
- これまで知らなかった企業や、関心を持っていなかった業界からの勧誘を受ける機会が生まれる
- 従来の就職活動では見逃していた可能性のある選択肢が広がる
- 企業からの直接的なアプローチにより、自身の価値を再認識できる
企業側のメリットとしては、次のような点が期待されています。
- 多くの学生と直接接点を持つことができる
- 求めている人材と出会う可能性が高まる
- 従来の採用活動では接触が難しかった学生層にもアプローチできる
県の取り組みと今後の展開
県によると、民間企業も同様のスカウト型サービスを提供していますが、登録料や手数料の面で県内の中小企業が利用するにはハードルが高い状況があります。長野県はイベントの参加料を取らない方向で検討を進めており、県労働雇用課の担当者は「県内企業がスカウト型サービスを利用する呼び水としたい」と意気込みを語っています。
イベントの具体的な日程は現在検討中ですが、11月から12月頃にウェブ形式で、来年2月頃に対面形式での開催を考えています。この取り組みは採用活動に限らず、インターンシップ(就業体験)のマッチングにも活用される予定です。
人口減少と人手不足が深刻化する長野県において、このスカウト型就活イベントはUターン就職率の向上と地域経済の活性化を図る重要な試みとして注目されています。県内外の学生と県内企業の新たな出会いの場が、長野県の未来を形作る一助となることが期待されています。



